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記事2006年12月23日 2052号 (2面) 
PDCAサイクル 学校評価推進に関する調査協力者会議
校種に応じ具体的な手法検討必要
学校評価の論点整理提示
私学の扱い含め年明け以降に更に検討
 文部科学省の「学校評価の推進に関する調査研究協力者会議」(天笠茂座長=千葉大学教育学部教授)の第五回会合が十二月十五日、都内で開かれ、同会議事務局(同省学校評価室)から「今後の学校評価の推進のための主な論点整理」が提案された。「論点整理」は委員のこれまでの意見を整理したもの。年明け以降さらに検討を深める。

 「論点整理」と同省の岸本哲也・学校評価室長の報告によると、現在、実施・結果の公表が努力義務とされている「自己評価」については、公立学校では実施率は高いものの、学期末・年度末の反省会を自己評価としているなど内容面あるいは公表面で課題を抱えている。そのため現状のままで自己評価の実施・公表を法的義務としてもいい加減なシステム≠ノなると指摘。
 学校評価結果を学校運営改善につなげるという、いわゆる「PDCAサイクル」の確立のためには、(1)自己評価(2)保護者等による外部評価(学校関係者評価)(3)専門家等による第三者評価の三つを相互に補完するものとして、一体的に検討するなどの充実策が必要としている。
 その上で第三者評価については、現実的には基準適合のための取り組みが妥当かどうかなど監査としての要素(インスペクション)を盛り込みつつも、各学校の目標設定の妥当性やその達成に向けた取り組み状況など学校運営全般のあり方について評価し、その結果を踏まえて、今後の学校運営の改善につなげるための課題点や改善の方向性を提示することを基本とすべきではないか、としている。広範にわたる諸基準(施設・設備や衛生に関する基準等)の適合を逐一検証することについては、設置者の各担当部局等が適宜検証すべきだとしている。
 また第三者評価を行う基礎資料として、全国規模の学力調査の分析結果の活用が重要と考えられるとしている。
 さらに学校評価を行うに当たって、誰が主体となって行うのかの検討が必要で、評価の信頼性、客観性を担保するため、高い独立性を保つ仕組が必要であること、誰がコストを負担するのか、誰が最終的に学校改善の責任を持つのか等を勘案して教育行政全体を見通したシステム設計が求められているのではないか、としている。
 私立学校の学校評価のあり方に関しては、「私立学校には建学の精神など、学校ごとに様々な実情等があり、必ずしも全てを同様に扱わなければならない必要性はないことから、それぞれの学校種に応じて具体の手法等は検討することが必要ではないか」としている。
 私立学校の学校評価に関しては、委員の久保田宏明・穎明館中学高校長が、私立学校は日常的に複数の雑誌など何百もの評価に晒され、進学希望者の学校選択に活用されていること、学校評価の取り組みは、公立学校でも学校選択の資料となることなどを指摘した。
 このほか同会議の委員も参加して今年九月以降行われている公立学校における第三者評価の試行事業について、それぞれの委員から実際に公立学校を訪問しての感想などが報告されが、「評価を受けた学校は、問題点を把握していたが、手を拱いてる場合が多い」「評価結果を校長は納得したが、問題教師は聞く耳持たない」など評価結果を学校の改善につなげていく難しさを指摘する意見も聞かれた。
 文部科学省では第三者評価を受けた学校が評価をどう受け止め、どうアクションを起こし、どう改善されたかなどについて今後比較検証していく方針だ。

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