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記事2006年12月23日 2052号 (6面) 
ユニーク教育 (167) ―― 仙台白百合学園中学・高等学校
国際舞台で活躍できる女性
建学の精神を教育現場に生かす

渡辺校長

 宮城県・仙台市の中心部から北に十`bほどにある、恵まれた自然環境に囲まれた仙台白百合学園中学・高等学校(渡辺智恵子校長、仙台市)、同学園は今年、創立百十三年を迎えた。一八九二(明治二十五)年にフランスから訪れた四人の修道女が、同学園の前身となる「私立仙台女学校」を開校、今日までその精神はカトリック精神として受け継がれている。それは創立以来、同学園の慈愛の精神となり、宗教教育、福祉教育、国際教育となって表れている。
 同校は三年前から高校でLE(留学・英語)、LI(総合進学)、LS(特別進学)の三コース制を導入し、志願者数を増やしているが、「全員が一年間海外留学するという特徴を持つLEコースが、特に人気を集めている。一年間英語にどっぷりつかるために、英語の実力がつき、生徒は自信をつけている」(土倉相・生徒募集対策室長)。
 この「LEコース」は、使える英語と、将来それを生かすための国際性を養い、国際的な舞台でも活躍できる女性を育成するのが目的だ。クラス三十人全員がオーストラリア、ニュージーランド、またはカナダの留学提携校へホームステイをしながら、一年の一月から二年の十二月まで一年間にわたって海外留学する。
 また、留学前後で各学年、週十時間から十二時間行う英語の授業に加え、コンピュータを活用した授業なども充実している。三年生になると、生徒同士が英語でディベートをする「ワールドトピックス」や、日本文化を英語で表現する「ジャパニーズ・カルチャー」という授業もある。
 「LIコース」は、高校三年間でじっくり自分の将来を選択するために、教養、福祉、語学を軸に幅広い教科履修ができるコースだ。そのために、生徒一人ひとりの興味と関心を生かし、幅広い進路に対応できるように選択科目を多く設定している。
 「LSコース」は、早くから進路目標に的を絞り、難関国公私立大学を目指す。「最近、着実に学力を伸ばしており、外部で行っている各模擬試験でも、本校の生徒が上位を占めるようになってきた」(土倉室長)。
 この三コース制を中心に、生徒一人ひとりの可能性の芽を大切に、創造力やチャレンジ精神を養っている。その方針は各種部活動の成果からもうかがえる。文芸部は、高校文芸誌コンクール(梅光学院主催)で、昨年の部誌『紫苑39号』が最優秀賞を獲得した。放送部は、二〇〇五年度のNHK放送コンテスト全国大会・テレビドキュメント部門で制作奨励賞を、宮城県新人大会・ラジオドキュメント部門で最優秀賞を獲得した。また、オーケストラ部は中学高校合同百二十人の生徒が、定期演奏会に加え、さまざまなコンサートやコンクールで活躍している。
 また、「宗教の時間」と「宗教音楽の時間」を持つ宗教教育では、他者への思いやりや、白百合の精神を理解する。授業以外でもフィリピンのスラム街やストリート・チルドレンの施設、山岳少数民族の村などを訪問しボランティア活動を行う「フィリピンボランティアスタディツアー」(LIコースの希望者のみ)など、奉仕の実践をする企画も多く、生徒たちは在学中にたくさんの経験を積むことができる。
 「今の時代、結局立ち戻るのは建学の精神で、私学はこの点を意識して、建学の精神を現場に生かしていかなければならないと思う。他校で行っていることをそのまま付け足したような内容では、同じようなものになってしまうと思いう」と土倉室長は建学の精神に裏打ちされた教育を重視する。


フィリピンでのボランティア活動

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