こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2006年12月13日号二ュース >> VIEW

記事2006年12月13日 2051号 (8面) 
ユニーク教育 (166) ―― 香川誠陵中学・高等学校
学力養成、個性伸長、徳性育成
英語力強化のためプラン導入



 豊かな自然に恵まれた環境にある香川誠陵中学・高等学校(黒川康嘉校長、香川県高松市)は平成五年、「愛、敬、誠」を校訓に掲げ開校された新しい学校だ。「学力養成」「個性の伸長」「徳性の育成」を教育の三本柱に据え、学業とともに、部活動も大いに薦めている。これは学校生活でのすべての活動が生徒一人ひとりの自己実現の場であると考えているからだ。この方針に基づいて、「本校は各学年目標を持って、全員で一丸となってやろうという気持ちで取り組んでおり、生徒一人ひとりの夢を実現させるということに教員も心掛けている」と、小松弘教頭は力を込める。
 全員で取り組んでいる一つが、昨年から行っている「English Success Plan」だ。これはセンター試験の二次試験でリスニングを導入する大学が増えていることなどに対応し、英語力強化のためのプランで、@英語の授業時間の充実、A英検資格取得のための対策、Bネイティブの教員の常勤、C国際感覚の養成(希望制の海外研修を実施)――を内容としている。
 具体的な取り組みとして、まず、英語の授業時間を十分とっていることが挙げられる。高校一年では英会話を含めて一週当たり七時間、二・三年では同じく文系で八時間、理系で七時間を配している。
 また、各学年で目標を定めて生徒全員が目指している英検取得への対策は、アラン・アーネスト・ウルフ常勤講師が中心となって、特に二次試験対策などで生徒の相談に乗り指導を行っている。中学一年から高校一年までは全員が受験(高校二年以上は希望制)する。ウルフ講師は日本語禁止部屋(English Arena)」に常時居て、昼休みや放課後に訪ねてくる生徒に対応している。「チャレンジできる環境をつくりたい」とウルフ講師は意欲的だ。
 成果は目に見えてきた。平成十七年度の英検結果は、高校一年百五人(高校からの入学者)のうち、二級取得者が四人、準二級以上を取得率で見ると七五%となっている。十七年度全国の高校生の準二級合格率が三七%だから、同校の取得率の高さがうかがえる。さらに、中学三年で準二級取得者が十二人、二級取得者が三人も現れている。
 大学合格者の中で、医学部合格したある卒業生は「苦手だった英語の偏差値が高一のときに五十台から七十台まで上がった」と喜びを体験記で語っている。「学校全体でイングリッシュ サクセス プランを成功させたい」(小松教頭)という強い意志の現れが分かる。
 文化祭で行われる「スピーチコンテスト」も学校全体が力を入れており、教員も意欲的になるという。これは、全員がクラスでの予選に参加、代表を選び、文化祭で予選を勝ち抜いてきた生徒が発表するものだ。審査は、審査員を外国人も含めて外部から招いて厳正に行われる。
 同校には寮があり、全国各地から来ている中学・高校生合わせて約百人が寮生活を送っている。寮生の生活指導は専門のスタッフが担当しており、規律正しい生活指導から健康管理、悩みの相談に至るまでサポートしている。先輩、後輩のいい関係ができている。中学生の学習は一斉自主学習を行っており、香川大学医学部の学生がチューターとしてサポートもしている。
 創立十周年を終えたばかりの同校は、学業と部活動で着実に実績を積んでいる。



記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞