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記事2006年12月13日 2051号 (1面) 
教育バウチャー賛成5割
学校制度や教員評価等に関する調査 内閣府が結果公表
所得格差に関わらぬ学校の自由選択
教育の質向上期待
 内閣府は十一月二十四日、「学校制度に関する保護者アンケート調査結果」を、同二十七日には「教育委員会・学校法人アンケート調査結果」を相次いで公表した。この中では教育バウチャー制度について、「賛成」あるいは「どちらかといえば賛成」との回答は合わせて五〇・一%、賛成とした理由については、「所得格差にかかわらぬ学校の自由選択」をあげた人が最も多く(五二・九%)、「公立間、公私間で学校間の競争が促進されて学校の質が向上する」ことへの期待が二番目に多かった(四四・二%)。一方、教育バウチャー制度に反対の理由としては、「人気校への集中、小規模校の教育環境悪化」を挙げる人が最も多く(八〇・九%)、「費用(税金)が私立に流れる」ことを危倶する人は二七・五%で最も少なかった。

 「学校制度に関する保護者アンケート調査」は、小学生から高校生までを持つ保護者(野村総合研究所の登録モニター)を対象に、インターネットを通じ調べたもので、回収サンプルは二千三百八十四人。調査は十一月三日の実施。
 調査結果によると、児童生徒数に基づく教育予算の配分制度(教育バウチャー制度)の是非については、「賛成」が一五・二%、「どちらかといえば賛成」が三四・九%、「どちらともいえない」が三九・四%、「どちらかといえば反対」は七・三%、「反対」は三・三%だった。
 賛成理由としては、このほか、「子供の教育に対して保護者の関心が高まる」が三五・三%、「税金の公平分配として望ましい」が二九・七%だった。反対意見としては、「学校の選択肢の少ない地方であまり効果がない」との回答が五一・〇%あった。
 また教員評価に関しては、匿名性が担保されることを前提に、教員評価(授業評価)を行いたいかとの設問で、五四・六%の人が「評価したい」と回答、「したくない」との回答は一一・八%に過ぎなかった。「わが子に教員評価をさせたいか」との設問に対しては、四五・二%が「させたい」と回答、残りは「させたくない」「わからない」が半々だった。
 教員評価結果の反映については、「教員の授業・指導方法の改善」を望む人が八二・三%で、また児童生徒・保護者の評価を教員の勤務評定に反映してほしいとする人は七三・六%、反映させる場合の比重としては、「五〇%程度」とする意見が五二・五%で最も多かった。
 さらに教員評価に際しては、「実際に授業を受ける児童生徒・保護者による評価を重視すべきだ」という人が五三・五%を占め、「専門家による評価」の一八・○%を大きく上回った。
 一方、「教育委員会・学校法人アンケート」のうち私立学校に関しては、私立小・中学校を対象に、今年十月下旬から十一月上旬に「教員の採用・評価等」について調査した。私立小・中学校八百七十八校が対象で、回収率は四九・八%。
 調査結果によると、学校教育活動に関する児童生徒・保護者による評価については、私立中学校の三二・五%が実施、一六・七%の中学校が今後実施する予定とし、実施予定はないとした中学校は二五・七%。その他は「分からない」といった回答等だった。私立小学校では「実施している」学校が二二・一%、「実施する予定」の学校は一一・六%で、いずれも私立中学校を下回った。
 学校に関する情報公開では、中学校の場合、学校行事の内容や学校の教育目標・経営方針、部活動の内容に関する公開率が一〇〇%近くで最も高かった。反対に公開する予定はないとしたものとしては、職員会議録や学校長・教頭・教職員の経歴、生徒指導上の諸問題、それに対する学校の対処、指導状況等が最も多かった。私立小学校もほぼ同様な傾向だった。

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