こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2006年12月13日号二ュース >> VIEW

記事2006年12月13日 2051号 (1面) 
京都座会が「緊急提言」 未履修問題で文科省方針批判
教育の自由化推進を
 作家の堺屋太一氏や上智大学名誉教授の渡部昇一氏らがメンバーの「世界を考える京都座会」は、十二月十一日、東京都内で記者会見を行い、「教育再生への緊急提言」を発表した。
 緊急提言は、学校教育が根底から揺らいでいる中で、官僚統制の画一的教育から脱却し、抜本的な教育の自由化・分権化を求めたもので、現在の「いじめ問題」については、欠点をなくして(嫌なことを強いる)、長所を抑える教育から、長所や個性を積極的に伸ばす教育への転換などで克服できるとし、義務教育を四年間で修了とし、その後は、サッカーや野球、英語といった生徒の得意分野を伸ばすことに大きな比重を置いた中等教育の展開を提言している。
 またいわゆる「未履修問題」に関しては、「文部科学省の教科の選定、教育内容の枠決めは参考程度に受け止め、各学校はその参考と自校のカリキュラムの差を公表することにとどめるべきだとしている。未履修問題が全国に拡大していることについては現実に合わない制度を文部科学省が強制しているからで、一元的強制以外の何者でもないことを文科省は直視すべきだとした。
 さらにいじめ問題や未履修問題をきっかけに文科省が強圧的な姿勢を強めていることへの警戒感や時代認識の欠如なども指摘した。
 加えて政府の教育再生会議に関しては、枝葉の議論に終始しており、結局、官僚の作文による中央集権的なことでまとめ上げられるとし、厳しくそのあり方を批判した。
 教育の自由化では学校設立の自由(塾も学校として認める)、学校の選択の自由化(教育バウチャーの導入)、教員任用の自由化、教育内容の自由化を求めており、中学校以降では奨学金の充実、寄付金の税制上の優遇措置などを求めている。教育バウチャー制度の導入が進めば、公私立学校の区別はなくなり、その区分は重要ではなくなるとした。また教育の自由化の下では、教育サービスの提供者(学校・教師)には競争原理を働かせて、一方、教育サービスの消費者(生徒等・保護者)には徹底した学校選択の自由等を保障すべきだと提言している。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞