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記事2006年12月13日 2051号 (1面) 
最高裁が判決 学納金返還訴訟で初判断
入学金返還義務なし
 私立大学を舞台とした、「学納金返還訴訟」の上告審で、最高裁判所第二小法廷は十一月二十七日の判決の中で、学納金返還が認められる場合や、認められない場合等について初の判断を示した。それによると、学納金のうち「入学金」に関しては「その納付をもって学生は大学に入学しうる地位を取得するものであるから、その後に在学契約等が解除され、あるいは失効しても、大学はその返還義務を負う理由はないというべきである」とし、入学金に関しては、時期に関わらず大学側に返還の必要はない、との判断を示した。
 その一方で「授業料」及び「諸会費等」に関しては、在学契約の解除の意思表示が三月三十一日までになされた場合には、大学の「不返還特約」(「いったん納付された納付金は理由のいかんを問わず返還しない」など)は、すべて無効となり大学側は授業料等の返還の義務を負う。
 しかし在学契約の解除の意思表示が四月一日以降の場合は、原則として学生が納付した授業料等が初年度に納付すべき範囲内にとどまる限り大学の定める不返還特約はすべて有効で、大学側は返還の必要がないとした。
 在学契約の解除の意思表示は、電話でも可能としている。また入学試験要項の定めにより、その大学、学部を先願あるいは第一志望とすること、または入学することを確約することができることが出願資格とされている推薦入学試験(これに類する入学試験を含む)に合格して大学と在学契約を締結した学生に関しては、在学契約解除の時期が他の入学試験等によって代わりの入学者を容易に確保することができる時期を経過していないなど特段の事情がない限り返還の義務はないとの判断を示している。
 在学契約等への消費者契約法の適用に関しては、同法施行後の在学契約等は二条三項所定の消費者契約に該当し、在学契約に係る不返還特約は、違約金等条項に当たるものとしている。
 また大学の不返還特約に関しては、著しく合理性を欠くと認められない限り公序良俗に反するものとはいえないというべきである、としている。

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