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記事2006年12月13日 2051号 (2面) 
学校評価と教員の能力開発
日私教研が初の研修会を実施
当初の見込み上回る155人が参加
 財団法人日本私学教育研究所(山岸駿介所長)は十一月十一日、都内の上智大学を会場に「学校評価と教員の能力開発研修会」を開催した。学校による自己点検・評価の実施について、現在の努力義務から義務化に移行が検討され、第三者評価の試行も進む中で、同研究所が平成十八年度から開始した研修会。当初の見込みを上回る百五十五人の教員が参加した。
 研修会では文部科学省の岸本哲哉・初等中等教育局学校評価室長が、「学校評価の現状と今後の課題」と題して講演。参加者からは私立学校へは第三者評価がどのように導入されるのかなど質問が相次いだが、岸本室長は、学校評価は教育再生会議の大きな課題になっていることから、まだ白紙の状態としたが、第三者評価について私立学校でも導入する余地は十分あると語った。
 また学校評価は学力水準で学校の良し悪しを決めるものではなく、どれだけその学校が授業改善等に努力しているか、あるいは改善課題を見るものと説明した。
 研修会ではまた愛知県の弥富高校の舘真昭教諭が同校の「学校づくりフォーラム」を牽引役とした学校改革への取り組みの経緯などを報告した。同校の学校づくりフォーラムは当初、新カリキュラムの骨格作りのために設けられた組織。次第に本格的な授業改善に取り組むようになった。
 学識経験者を核に、地域関係者、生徒、保護者らが積極的に発言、アンケート調査なども行い、また授業をVTRに収録し教員の教え方の比較検証も行った。
 結果、図書館の充実や教員の新規採用など教育環境の整備を実施、また生徒の授業満足度の上昇、問題行動の減少などの成果を生んだ。
 今後も学校づくりフォーラムの論議と教職員との更なる連動や家庭での学習をどう充実させられるかなどに取り組んでいく必要性を指摘した。
 生徒による教員の授業評価はしばしば教員側の強い抵抗を招くが、同校の場合、調査結果を勤務評価につなげなかった点が改革を促進する要因の一つとなったようだ。
 研修会ではこのほか小島弘道・筑波大学大学院教授が学校の持つ能力の検証としての学校評価の必要性等について講演した。
 同研究所では研修会の実施と並行して今後三年間をかけて学校評価のあり方を研究していく。

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