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記事2006年12月13日 2051号 (7面) 
学校教育と著作権個人情報で研修会
体験的に学習をさせる必要性指摘
東京都私学財団東京私学教育研
 財団法人東京都私学財団(酒井竅ヲ理事長=東京女子学院中学高等学校理事長校長、著作権利用等に係る教育NPO理事長)と東京私学教育研究所(堀一郎所長、教育NPO常務理事)は十一月十四日、東京・新宿区の同財団で「学校教育と著作権・個人情報に関する研修会」を開催した。
 著作権については、大和淳・横浜国立大学大学院国際社会科学研究所助教授が「学校教育と著作権」と題し、個人情報については、酒井理事長が「学校教育と個人情報保護」と題し講演を行った。
 大和助教授は現在、デジタルネットワーク化の急速な発展に伴い、コンテンツの創作、コピー、加工や、情報の発信などが頻繁に行われる上で、法令順守教育が重要になっていると、著作権教育の必要性を述べた。文化的な創造物を保護の対象とする著作権と、特許権・実用新案権・意匠権・商標権といった産業財産権を含む「知的財産権」については、価格とは関係なく、見えぬ価値(無形の価値)を対象とする財産権と意義付けた。
 このうち、著作権には創作者としての人格的な利益を保護する「著作者人格権」と、無断で複製などの利用をされないことを主張できる「著作権(財産権)」があるとし、具体的ケースを示した。
 教員が既存の著作物を利用して教材を作成する場合、著作権法三五条第一項で、例外的に無断で他人の著作物を利用できる場合を規定している。例えば、学校向けのワークブックやドリルなどは本来授業で使用することを目的作成されたものであり、それを複製して授業で使用することは、同条「用途」に照らし問題とされる。
 また、文化祭等で演劇の上演や音楽の演奏などを行う場合、同法三八条第一項から、原則として著作権者の許諾が必要であるが、(1)上演または演奏等が営利を目的としないこと、(2)聴衆または観衆から観衆のための料金を取らないこと、(3)演奏したり、演技したりする者に報酬が支払われないこと――を条件に著作権者の許諾を得ずに行うことができる。
 大和助教授は、人格権、財産権の内容を体験的に学習させるといった観点から、中学・高校で指導することが求められているとした。
 酒井理事長からは、学校保有の個人情報として、校内の場所別に見た個人データが示された。

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