こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2006年11月23日号二ュース >> VIEW

記事2006年11月23日 2049号 (1面) 
教基法衆院通過 舞台は参院へ、与党成立に全力
私学振興拡充に期待
野党が審議に復帰 成立の可能性高まる
 内閣提出の「教育基本法案」が十一月十五日、衆議院の教育基本法に関する特別委員会(森山眞弓委員長)に続き十六日の本会議で可決、参議院に送られ、十七日の参議院本会議で教育基本法に関する特別委員会設置が決まった。野党は衆院での与党単独採決に反発、審議拒否を続けていたが、二十一日、今後衆院特別委員会で三時間の集中審議を行うことで審議復帰に同意、二十二日から参院での審議が動き出した。これにより来月十五日の会期末までに成立の可能性が高まった。

 「教育基本法案」は、先の通常国会も終盤の四月二十八日に国会に約六十年ぶりに提出され、約五十時間に及ぶ審議が行われたものの、結局、継続審議となり、現在の臨時国会で、九月二十八日の衆議院教育基本法に関する特別委員会を皮切りに審議がスタートした。十月二十五日の第二回の会合では伊吹文明文部科学大臣から法案の提案理由が説明され、それ以降は、十月三十日、十月三十一日、十一月一日、十一月二日、十一月六日、十一月七日、十一月九日、十一月十日、十一月十四日、十一月十五日には公聴会と特別委員会が開かれるなど精力的な審議が続いた。そうしたなか十一月十五日の特別委員会で自由民主党の鈴木恒夫議員から質疑終局の動議が出され、動議は自民、公明両党のほか、保利耕輔議員の賛成で可決、その後の法案採決でも、自民、公明両党と保利耕輔議員の賛成で可決された。野党(民主、共産、社民、国民新党)は与党の採決強行として審議拒否、特別委員会を欠席した。
 まさに急ピッチで進められた衆院特別委員会での審議では、安倍総理から憲法改正と教育基本法改正の関係などについて見解が示され、教育基本法案に掲げられた教育の目標や宗教教育などが審議されたほか、急遽、大きな問題として浮上した「いじめ問題」や高校における「必修科目の未履修問題」、いじめ問題等に絡んで教育委員会への国の関与を強化する問題なども取り上げられた。
 参考人として教育再生会議座長代理の池田守男資生堂相談役や若月秀夫・東京都品川区教育長、教育評論家の尾木直樹・法政大学教授、藤田英典・国際基督教大学教授から意見聴取、質疑が行われ、教育委員会の制度改革や競争原理や成果主義が教育行政の中心に置かれているとの指摘等が論点となった。
 私学関係者は私立学校や大学等の条文が新たに設けられたことから、教育基本法での規定が根拠となって、私学振興策が充実されることに強い期待を寄せているが、私学振興には与野党とも異論がないこともあって、私学に関する議論に目立ったものはなかった。
 また野党の審議拒否の引き金ともなった政府の「タウンミーティングでのやらせ問題」も取り上げられた。十一月十五日には松下倶子・独立行政法人国立青少年教育振興機構理事長や鹿野利春・石川県立金沢泉丘高校教諭ら五人の公述人を招き公聴会も開かれ、意見聴取、質疑が行われ、家庭教育や教育バウチャー制度等が論点となった。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞