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記事2006年11月23日 2049号 (1面) 
小学校からのパソコン、英語教育 藤原氏批判
私大への大幅助成が重要
私大振興協秋季総会

北元会長

 日本私立大学振興協会(会長=北元喜朗・北陸大学理事長)は十一月九日、私学会館(東京・市ヶ谷)で秋季総会を開催した。副会長に金子朝子・昭和女子大学副学長が就任した。藤原正彦・お茶の水女子大学教授と陰山英男・立命館大学大学教育開発センター教授が講演した。

 同協会では会則第五条で、会長一人、副会長、二人を置くことが決まっているが、今春の総会で副会長に大河原量・武庫川女子大学理事長が決まったが、もう一人の副会長が決まらず、懸案事項となった。今回副会長に就任した金子副学長は「微力ながらお手伝いさせていただく」とあいさつした。
 北元会長は「学校の会員数としては小さい会だが、いろいろな委員会で発言できる機会も与えられ、政府、自民党、文部科学省の政策にも意見を反映できる。これからも皆さんと結束してやっていきたい」と述べた。
 その後、ベストセラーとなった「国家の品格」の著者、藤原教授が講演し、日本の教育についてさまざまな提言をした。まず、小学校からのパソコン教育、英語教育、起業家教育について、「日本を滅ぼす確実な方法」と厳しく批判。英語教育については「もちろんできてよいに越したことはないが、伝達する手段より内容」とし、国語教育の重要性を強調した。学力の国際調査での低迷についても「辛うじて一位であってはならない。ダントツ一位でなければこの国はやっていけない」と懸念を示した。大学関係では株式会社立の大学設置についても言及し「一定の規制のもとで(設置する)学校法人のようなものではなく、株式会社は勝手に参入し利潤追求のための道具としている。うまく利潤が上がらなくなったらやめてしまうのは当たり前のこと。株式会社とは株主の利益関係がもとになっている。生徒のため、学生のためではない」と話した。また、日本の教育費がGDP比で他の先進諸国に比べ低いことについても、「大々的な助成金が必要。このままでは地盤沈下を起こす」と指摘。政府で検討されているバウチャー制度、大学九月入学についても、「教育の本質と何ひとつ関係ない」と述べた。
 一方、陰山教授は基礎学力の重要性、教育の二極化などについて話した。東京大学合格者を例に挙げ、昭和五十九年では七五%が年収九百五十万円以下だったが、その後、バブル景気を経て、高額所得者層の東大合格者は減少してきているという。陰山教授は「貧しくても負けない子供が出てきている」と話した。

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