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記事2006年11月23日 2049号 (8面) 
ユニーク教育 (165) ―― 藤枝順心中学・高等学校
清楚、芳香、忍耐理念に
実践教育、社会生活に適応する教育
 閑静な住宅地にある藤枝順心中学・高等学校(多賀須節校長、静岡県藤枝市)。同校は大正元年「仲田裁縫教授所」として創立され、今年で九十五年目を迎えた。「清楚」(せいそ)、「芳香」(ほうこう)、「忍耐」(にんたい)――という建学の精神は、校章の「白梅」に象徴されている。平成十五年には中学校を開校した。
 同校の教育には、実践教育、社会生活に適応する教育、そして情操教育を目指すカリキュラムが随所にみられる。その目指す教育は、「普通科」「美術工芸デザイン科」および「食物科」という特色ある三つの科によって実現されているといっていい。
 「普通科」は実社会に生きる豊かな人間性の育成を意識しつつ、(1)「大学進学」、(2)「経理情報専攻」、(3)「文書情報専攻」という三つの専攻を設けている。
 この中で、「文書情報専攻」は、エクセルとワードのソフトで文書処理技術を獲得し、ワープロ等の検定一級の取得を目標に置いている。また、「経理情報専攻」は、エクセルとワードのソフトで情報処理技術を獲得するとともに、経理関係の基礎と簿記を習得し、日商簿記検定三級以上の資格取得を目指している。
 「美術工芸デザイン科」は、実社会で通用するデザイナーとしての能力を養成することを目的に、同校が誇る伝統的な手工芸の技術をベースに工芸デザイン関係の素養を身につける。一クラス三十人という少人数制を導入し、生徒一人ひとりの個性を伸ばせるように教師が対応している。
 伝統ある「食物科」は、実践教育が最も発揮できる科だ。三年間の学習で高校卒業と同時に、国家資格の調理師免許が取得できる。普通科目の中に衛生法規・公衆衛生・食物調理などの専門科目を加えた教育課程は、実社会が期待しているキャリアを取得できる十分な内容となっている。高校一年では、食品学などの専門科目からスタートする。
 高校二年になると、専門科目が増え、文部科学省認定の全国高等学校家庭科食物調理技術検定一級の取得を目指すようになる。三年生になると、調理理論・実習は週九時間となる。専門店のシェフの指導も加わり、和洋・洋食・中華料理の基本から応用まで学ぶことができる。テーブルマナーを一流ホテルのシェフから直接指導を受ける。
 これら普通科、美術工芸デザイン科、食物科それぞれに在籍する生徒たちは、部活動でもいかんなく伝統的強みを発揮している。手工芸部は平成十八年度「全国手工芸美術展覧会」高校の部で文部科学大臣奨励賞(通算三十回)を獲得している。
 充実した教育は、充実した施設・設備の影響が大きい。校庭の樹木の幹の太さが、校舎の頑丈さを表しているようだ。全国屈指といわれている耐震構造による八階建て校舎、近代的な講堂、そして体育館設備は生徒の学習環境に十分な配慮がなされている。体育館は、バレー・バスケットフロア、格技場、トレーニングフロアからなる。サッカー部は平成十八年度「全日本高校女子サッカー選手権大会」で全国優勝を果たした。
 同校の、知・徳・体のバランスの取れた教育は、力強く花開いている。


食物科の調理実習の時間


全国優勝したサッカー部

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