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記事2006年10月13日 2042号 (2面) 
高校から大学への飛び入学停滞ぎみ
広がらない要因などアンケート調査 文科省が結果公表
特に優れた資質の判定
指導体制整備の難しさ指摘
 文部科学省は十月四日、飛び入学制度に関するアンケート調査結果を公表した。それによると、飛び入学については二十九大学・三十六学部が実施を検討していたが、検討体制は大半が個人または複数の担当者レベルどまりで、進捗状況についても、検討を一時中断している学部が五二・八%、継続的に検討中している学部が三三・三%、導入しないことで結論を得た学部が一三・九%で、検討はあまり進んでいないことがわかった。

 今回の調査は、平成十四年度から始まった特に優れた資質を有する高校生は二年修了後、大学に入学できるという飛び入学制度が、四年たっても一向に広がらない要因を探ったもので、平成十七年度に同省が実施した「大学における教育内容等の改革状況調査」で飛び入学を検討していると回答した大学(二十九大学・三十六学部)を対象に今年九月に実施した。二十三大学・三十六学部が回答した。
 制度導入の障壁に関しては、(1)教育面での効果や課題を挙げた学部が二二・二%(2)大学運営上のメリット等の有無を指摘した学部が二五・〇%(3)「特に優れた資質」を有する者の選抜方法や高等学校長の推薦の難しさを挙げた学部が三六・一%(4)飛び入学させた者に対する指導体制の整備の困難さを指摘した学部が三六・一%(5)自己点検・評価等の事務作業の増加を問題とした学部は八・三%だった。
 このうち教育面に関しては、「人格形成の観点から問題(当該分野における優秀な能力があればよいというわけではない)」とする意見等が見られた。大学運営上のメリットに関しては、「解決すべき課題が多い反面、対象となる学生数が多くなく、メリットが少ない」とする意見がある一方で、「優秀な学生を入学させることで大学の知名度向上が図られるのではないか」との回答が寄せられた。
 このほか特に優れた資質の判定や担当教員の確保、特別なカリキュラム編成の難しさが指摘され、大学における飛び入学した学生の指導体制に関してもさまざまな捉え方があることも分かった。平成十八年度入試では国立では千葉大学、私立では名城大学、昭和女子大学、成城大学、エリザベト音楽大学、公立では会津大学、の合わせて六大学(十学部)が飛び入学制度による学生募集を実施した。

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