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記事2006年10月13日 2042号 (2面) 
文科省の協議会 自然科学分野で出遅れ
国際コンテスト参加状況、課題報告
 文部科学省の「大学の早期入学及び高等学校・大学間の接続の改善に関する協議会」(座長=丹保憲仁・放送大学長)は、十月四日、都内で第七回会合を開き、飛び入学のあり方に絡んで、国際化学オリンピックを中心に高校生を対象にした国際的なコンテストの現状や課題について渡辺正・東京大学生産技術研究所教授から聴取した。
 現在、自然科学の分野では、数学、物理、化学生物学、情報の五つの国際オリンピックが代表例で、そのほか体育、芸術等の分野でも国際大会が行われている。
 このうち自然科学分野に関しては、日本は諸外国に比べ参加が出遅れており、国内選考への参加生徒数も五分野合わせても三千人強。
 政府は今後こうした国際コンテストへの参加者拡大や成績向上等に財政支援を強化する意向で、渡辺教授によれば国内選考の参加者を現在の三倍の一万人規模にする計画だという。
 特に国際化学オリンピックでは、アジア諸国の新規参入も相次いでおり、また優秀な成績を上げている中国では国内選考に約十万人、台湾では約六万人、韓国では約五千人が参加、金メダル獲得者には奨学金や進学保証などの報償制度を講じているという。
 そうした国際的にもずば抜けて優れた資質を有する生徒に関しては、通常の授業をどうしているのか、との質問が出され、たいていの生徒は、授業とは別に独学していることなどが明らかになった。ただし放っておいた方がいい生徒、いい教育を授けるとグーッと伸びる生徒など様々のようで、委員からは「一律にどうこう考えるのは改めるべきだ」「学年の縛りを外して早い段階で大学入学ができるようにしたらどうか」「優れた資質をもう少し細かく分類すべきではないか」「私学の一貫校では高校在学中に大学の授業を受けているケースもある」「学年主義がいいのか検討してほしい」などの意見が出された。
 また受け入れる側の大学学部の質低下の問題を指摘する意見や、国際コンテストに参加する諸外国に比べて学習内容のレベルの低下を問題にする意見も聞かれた。
 このほか文部科学省から飛び入学に関するアンケート調査結果が報告された。同協議会では十八年度中に最終的なとりまとめを行う予定。

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