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記事2006年1月3日 2009号 (2面) 
指導力不足教員が増加
内閣府が教員に関する調査
大学等卒業生の資質が低下
教免更新七割が支持
 学校現場での指導力不足教員の問題が社会的関心を集めているが、約四割の学校法人は指導力不足の教員が増えていると見ており、その原因としては、「大学・大学院を卒業・修了して教員になる者の資質が下がっているため」や、「保護者や生徒の教員を見る目が厳しくなったため」、「指導力不足の教員に対しての研修が十分に機能していないため」と答える学校法人が多いことが、昨年十二月五日に内閣府が発表した教員に関するアンケート調査結果で明らかになった。この調査は、昨年九月から十月にかけて四十七の都道府県教育委員会、七百五十六の市区教育委員会、千三の学校法人(小・中学校の学校法人、国立大学法人付属を含む)を対象にしたもの。回収率は六〇・〇%。
 今回の調査結果によると、指導力不足の教員が増えていると回答した学校法人は三八・〇%で、都道府県教委の二一・三%、市区教委の三五・七%を上回り最も多かった。ただし「あまり変わらないと思う」「減っていると思う」と答えた学校法人は合わせて五九・三%に上った。
 指導力不足教員が生まれる理由(複数回答)については、学校法人の回答では、「大学・大学院を卒業・修了して教員になる者の資質が下がっているため」が三八・八%で最も多く、都道府県教委は「保護者や生徒の教員を見る目が厳しくなったため」(六一・七%)が、市区教委では「教える内容が多様になり、従来の教育ノウハウでは通用しなくなっているため」(五一・九%)がそれぞれ最多となり、設置者によって原因の見方が異なっていた。また指導力不足教員の資質向上に研修・指導等は有効か、との問いに対して、「有効に機能している」と回答した学校法人は一七・八%に過ぎず、都道府県教委の六八・一%、市区教委の二八・六%と比べて少なかった。学校法人で最も多い回答は、「教員としての適性は本人の資質によるところが大きく、研修・指導等によって基本的に改善するものではない」(三九・八%)で、都道府県教委の四・三%とは対照的な結果だった。さらに中央教育審議会で現在、検討が続いている「教員免許更新制」について教員の資質を育成する上で有益かとの設問では「かなり有益」と回答した学校法人は三〇・九%で、都道府県教委の一七・〇%、市区教委の二五・八%を上回った。学校法人の更新制支持率は、「やや有益」を加えると六六・一%となる。
 教員免許更新制の導入対象については、これから教員になる者はもとより現職教員も加えたすべての教員を対象にすべきだとの回答が、学校法人で八五・三%に上り、都道府県教委、市区教委の七〇%台を上回った。


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