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記事2006年1月23日 2010号 (1面) 
文部科学省 平成18年度私学関係予算案
経常費補助増額
大学等一般補助2204億特別補助372億
私大教育研究高度化は737億円に
私大補助 授業料減免など新規
高校等補助単価微増、授業料減免生活保護世帯にも

 文部科学省の平成十八年度私立学校関係予算案の詳細が一月十三日、明らかになった。それによると前年度に比べ二十億円増額した「私立大学等経常費補助金」では、(1)一般補助が九年ぶりに前年度比増額(十億円)に転じ二千二百三億七千九百万円に、(2)特別補助は二十三億円増え三百七十一億六千万円に、(3)私立大学教育研究高度化推進特別補助は十三億円減額し七百三十七億一千百万円となった。一般補助の増額は、教職員の雇用保険料、非常勤教員の労災保険料等、認証評価経費が新たに補助対象となったことなどが要因であるが、特別補助でも授業料減免事業等支援経費が新規に補助対象となった。一方、前年度比五億円増額の「私立高等学校等経常費助成費等補助金」では、生徒等一人当たり補助単価が一〜二%の幅で増額、授業料減免事業等支援特別経費の対象が生活保護世帯にも広げられた。

 「私立大学等経常費補助金」の一般補助については減額傾向を続け、代わって特色ある教育研究や社会的要請の強い教育研究への特別補助が拡充されてきた。
 しかし学生数や教職員数などに応じ配分され基盤整備の色彩の強い一般補助について私学団体は、昨年八月の平成十八年度概算要求を前に、「一般補助があって初めて(私大等は)基盤整備が出来る。時代の流れとして(特別補助の増額は)理解できるが、このままでは(国私立間で)競争すらできない。日本の教育全体のことを考えると大きな問題」(安西祐一郎全私学連合代表)と指摘、一般補助の増額を要請していた。
 当時の中山成彬文部科学大臣も「基本的なものがあっての競争だと思う」と一般補助増額に理解を示していた。
 今回は教職員の雇用保険料や新たに義務化された第三者による認証評価への支援などが盛り込まれることで一般補助の増額が実現した。なお私立大学教育研究高度化推進特別補助では法科大学院支援経費として前年度比二〇%増の四十八億円が計上されている。
 「私立高等学校等経常費助成費等補助金」については、一般補助が補助単価の増額などを反映して前年度比三億三千三百万円増えた。
 特別補助では授業料減免事業等支援特別経費が前年度比三億三千八百万円増の六億三千八百万円となったことなどから全体で三億九千三百万円増の九十九億六千二百万円となった。
 それ以外の教育改革推進モデル事業は五億百万円、特殊教育や広域通信制教育、農業教育を支援する特定教育方法支援事業が二十三億八千八百万円となっている。
 一般補助では引き続き特別分としてコンピュータ整備やインターネット接続促進、IT教育人材育成、少人数等きめ細かな学習指導の推進などに重点的な補助を行う。
 施設整備関係の「私立大学・大学院等教育研究装置等施設整備費補助金」では、私立大学学術研究高度化推進事業が前年度の六割弱に減額したことなどから全体で二〇・三%減の百十四億三千四百万円となった。ただし私立大学等防災機能等強化緊急特別推進事業は、アスベスト対策工事を補助対象とする環境衛生対策推進事業(四億七千二百万円)が新規に設けられたことや、既設の学校施設耐震改修事業やバリアフリー推進事業の予算増額から前年度比五三・七%増の十八億八千七百万円となった。

 また「私立高等学校等施設高機能化整備費補助」は、(1)情報教室や校内LANの整備、施設のバリアフリー化などを目的とした高機能化整備費補助(予算額三億五千万円)、(2)施設の耐震化、防犯対策などに資する工事等を支援する防災機能強化施設整備費補助(十六億三千八百万円)(3)太陽光発電や校舎内外の緑化などを進める私立学校エコスクール整備推進モデル事業(九千万円)の三本立て。十八年度予算ではこれらに加え、防災機能強化施設整備費補助の対象に新たにアスベスト対策工事が盛り込まれた。そのため三つを合わせた補助総額は前年度比一〇・六%増の二十億七千八百万円となり、五年ぶりの増額となった。補助対象校は私立の高校、中等教育学校、中学校、小学校、盲・ろう・養護学校で、補助率は三分の一以内。補助対象事業費は(1)と(3)が上限二億円、下限一千万円。(2)は上限二億円、下限四百万円。
 設備整備関係の「私立大学等研究設備等整備費補助金」は前年度比六・七%増の六十四億七千七百万円となった。その中の研究設備が前年度比一八・一%増えたためで、もう一つの情報処理関係設備は前年度比一〇・五%減額した。同じ設備整備関係の「私立高等学校等IT教育設備整備推進事業」は、教育コンピュータやソフトウエアなどの整備を支援するもので、予算額は実績などを考慮して前年度比一三・一%減の十三億円となった。補助率は二分の一以内。補助対象経費は上限四千万円、下限五百万円。このほか老朽校舎の建て替え促進などを目的に利子助成を行う「私立学校施設高度化推進事業費補助」は前年度と同額の十一億八千九百万八千円の予算額。また日本私立学校振興・共済事業団の貸付事業については、前年度と同じ六百億円の貸付計画額を維持しつつ、財源の一つとなる財政融資資金については同資金全体が近年大きく縮減される中、三億円増の百六十三億円となった。

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