文部科学省は八月三十一日、平成十八年度概算要求を財務省に提出した。このうち私立大学等経常費補助金は前年度比八十億円(二・四％)増の三千三百七十二億五千万円、私立高等学校等経常費助成費等補助金は前年度比五十億円(四・八％)増の千八十三億五千万円の要求。これら経常費補助金に施設設備関係などを加えた私学助成関係要求総額は、前年度比百五十五億円（三・四％）増の四千七百三十億八千万円に上ったが、私学助成を取り巻く環境は同省内外で昨年以上に厳しい状況だ。

　文部科学省の来年度概算要求のうち一般会計は、前年度比五千四百十三億五千五百万円（九・四％）増の六兆二千七百四十六億二千六百万円で、増額要求のうち四千二百五十億円が三位一体の改革で十七年度に暫定的に減額された義務教育費国庫負担金の復元分。
　政府の平成十八年度概算要求基準では、私学の経常費補助金を含む「裁量的経費」と私学の施設関係補助を含む「公共投資関係費」については、前年度予算額の三％減の額が要望基礎額。昨年度は「裁量的経費」については二％減であり、より厳しくなった。
　また、対前年度予算と同額の扱いとされた昨年度の科学技術振興特別枠は十八年度には設けられていない。さらに衆院選挙結果によっては、私学助成が大きく影響を受ける可能性もある。
　私学助成関係要求のうち私立大学等経常費補助金は、増額要求分八十億円のうち十九億七千七百万円が一般補助の増額。一般補助の充実は、私大等の基盤整備に不可欠として九年ぶりに増額要求となった。
　特別補助では「授業料減免事業等支援経費」（三十五億円）が新規要求された。私立大学教育研究高度化推進特別補助では、「法科大学院支援経費」、「多元的評価支援経費」等が増額要求された。
　一方、私立高等学校等経常費助成費等補助金は、三位一体の改革で廃止・税源移譲すべき補助金の対象外となったことから、従来の線にそった要求となった。一般補助での増額に加え、特別補助においては、「授業料減免事業等支援特別経費」を前年度比三億三千八百万円増の六億三千八百万円に拡充し、リストラなどで家計が急変した家庭の児童・生徒に加え新たに生活保護世帯の生徒等を対象にする。
　私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助金は前年度比八億九千七百万円、六・三％増の百五十二億四千六百万円の要求。このうち私立大学学術研究高度化推進事業では補助率を三分の二へ引き上げる。
　私立高等学校等施設高機能化整備費補助は前年度比六・一億円、三二・五％増の二十四億八千八百万円の要求。両補助ともアスベスト対策事業を新たに補助対象に加えた。
　私立大学等研究設備整備費等補助金は、前年度比九億四千八百六十万円、一五・六％増の七十億一千六百六十万円の要求。
　私立高等学校等ＩＴ教育設備整備推進事業は前年度比四千四百万円、二・九％増の十五億四千万円の要求。
　私立学校高度化推進事業費補助金（利子助成）は前年度同額の十一億八千九百万八千円の要求。
　このほか財団法人日本私学教育研究所に対する補助金は前年度と同額の要求となっている。