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記事2005年9月23日 1992号 (1面) 
平成17年度、都道府県私学助成状況 中高連調査
都道府県厳しさ増す私学助成
日本私立中学高等学校連合会(田村哲夫会長=渋谷教育学園理事長)は、このほど、平成十七年度の各都道府県における私立高等学校等経常費助成状況(生徒等一人当たり単価)をまとめた。

 調査結果によると、十七年度当初予算の段階では、私立高校(全日制・定時制課程)の全国平均助成単価は、生徒一人当たり三十一万八千二百五十五円で、前年度比〇・九二%増額、中学校の平均助成単価は二十八万二千三十八円で、〇・一四%増額していた。
 これらの平均助成額は、国による財源措置額に比べて高校で約一一%、中学で〇・六%なお上回っているものの、高校の場合で国の財源措置額が前年度比〇・九四%伸びたのに対して、都道府県平均助成額の伸びは〇・九二%にとどまっていた。
 また国の財源措置額が増額したにもかかわらず、十七年度の助成額が前年度比で減額していた県も七県、前年度と同額に据え置かれたところが五府県あり、さらに国の財源措置額に届いていない県も二県あった。
 国の財源措置額に、各都道府県が私学教育の必要性を重視して独自に積み増している助成額は各都道府県の財政事情が厳しくなってきたことから、平成に入って以降、年々やせ細る状況で、県単独分は平成元年度から五年度くらいまでは助成額の一五%程度あったが、十五年度ではわずか二%となっている。
 さらに、私立中学校、小学校は、高校と比べて助成額はさらに低く抑えられており、中学校の国の十七年度度財源措置額が前年度に比べ一・〇二%伸びたのに、平均助成額は〇・一四%のアップにとどまり、また財源措置額に比較して平均助成額は千六百三十二円(〇・五八%)上回っているにすぎない。前年度と比べると、七県で平均助成額がダウンし、六県で据え置きとなった。
 特に島根県で生徒一人当たりの助成額が約五万五千円、鳥取県で約四万一千円引き下げられるなど従来私学助成に熱心だった県の大幅後退が目につく。
 さらに小学校に至っては、同様に財源措置額は前年度比一・〇二%伸びたものの、平均助成額は前年度比一・七〇%のマイナスで、平均助成額は国の財源措置額を五・三〇%下回っている。
 このように都道府県私学助成を取り巻く環境は厳しいが、その一方で私立学校に対する社会的要請・期待は、最近だけでも環境教育、IT教育、金融経済教育、食育、学力向上などと膨らむばかり。
 実際、文部科学省の調べによると、私立高校等の経常的経費は、増加の一途をたどっており、平成十五年度では前年度比〇・二四%増の一兆八千八百三十六億円に上る。
 現在でも初年度の学納金公私間格差が高校で六倍近い中で、各都道府県私学助成の減額傾向は、公私間格差を更に拡大し、国民から学校選択の自由を奪うばかりか、特色ある教育によって中等教育を質の面で牽引してきた私立中学・高校の失速≠招き、わが国の中等教育全体にも大きな影響を及ぼしかねない。

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