こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2005年8月13日号二ュース >> VIEW

記事2005年8月13日 1989号 (1面) 
全私学連合 来年度予算、税制改正を文科相らに要望
私学の基盤整備に一般補助増額を
私大の財政、研究基盤の拡充
高校等の公私間格差是正も
全私学連合は、八月二日、文部科学省に中山成彬大臣、塩谷立副大臣、下村博文大臣政務官、結城章夫事務次官らを訪ね、来年度政府予算編成・税制改正における私学関係予算の拡充等を要請した。訪問したのは安西祐一郎代表のほか、同連合を構成する日本私立大学団体連合会の大沼淳副会長、日本私立短期大学協会の川並弘昭会長、日本私立中学高等学校連合会の田村哲夫会長と吉田晋副会長、日本私立小学校連合会の平野吉三会長、全日本私立幼稚園連合会の三浦貞子会長に代わって清水博雅副会長ら。大臣への要請では鳥居泰彦・日本私立学校振興・共済事業団理事長も同席した。

 この中で安西代表らは大学に関しては特に「私立大学等経常費補助金」の一般補助の増額等を要請した。同補助金の一般補助については、学生数や教員数などに応じて配分されているが、二十年ほど前から減額傾向を続けており、その一方で特色ある教育研究や社会的要請の強い教育・研究等への補助金が拡充されている。またここ数年は国公私立を通じた競争的環境の中で特色ある優れた教育や研究に交付される予算が増えている。
 しかし国立大学と私立大学とではもともと公費投入額が極端に異なり、私立大学の財政基盤や研究基盤は脆弱(ぜいゃく)。そうした背景から安西代表は、「一般補助があって初めて(私大は)基盤整備ができる。時代の流れとして(特別補助等の増額は)理解できるが、このままでは競争すらできない。日本の教育全体のことを考えると大きな問題」と訴えた。
 中山大臣も「基本的なものがあっての競争だと思う」と私学側の要請に理解を示した。
 また安西代表らは塩谷副大臣に、私立大学等に対する経常費補助金の比率が私立学校振興助成法の目標としている経常的経費の五〇%を大きく下回り一二%程度にとどまっていることや、東大など旧帝大系の大学に対する現在の運営費交付金が全私立大学に対する補助金とほぼ同額にあることを訴え、私大の基盤整備、一般補助の増額の必要性を力説した。さらに川並会長は、短期大学は四年制大学に比べさらに規模が小さく、運営状況は非常に厳しいことなどを説明、現在、税制改正論議で浮上している扶養控除の縮小・廃止は私学進学の大きな足かせになりかねないと訴えた。
 一方、田村会長は保護者の負担する教育費の格差が公私間で大学よりもはるかに大きいことや、親の収入に関係なく私学進学への希望が多いこと、公私立学校がお互いに緊張感を持って競争してこそ日本の教育の質が高まることなどを指摘、公私間格差が縮まっていかないと公私間で競争が生じないとの考えを示した。
 平野会長は国民が公立小学校教育への不安から私立小学校教育への期待を高めているものの、経済的な面から私立小学校進学に二の足を踏んでいることなどを強調した。
 清水副会長は、私立幼稚園に対する補助金の低さや保育料が低く抑えられていることなどから、幼稚園教員の給与が低く、人材確保の点で問題となっていること、平均すると幼稚園教員が五、六年で退職していることから幼稚園経営が何とか行われているが、日本の幼児教育の観点からは問題だと指摘した。
 私学団体代表らが訪ねた文部科学省幹部は私学の基盤整備の必要性に理解を示し、下村大臣政務官も「日本の将来を考えると私学の基盤整備が必要だ。官民格差是正で教育を活性化すべきだ」とした。そのほか「何とか教育のパイ(予算)を増やさなくてはいけない」と答えた文部科学省幹部もいた。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞