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記事2005年8月13日 1989号 (2面) 
大学院教育で答申案
課程の目的を明確化、国際的通用性
【大学院部会】
 中央教育審議会大学院部会(部会長=中嶋嶺雄・国際教養大学理事長・学長)は八月二日、都内で会合を開き、「新時代の大学院教育―国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて」の答申案をまとめた。課程の目的を明確にした上で学位授与へと導く教育プログラムの編成・実践や国際的な通用性を提言している。
 答申案は序章、第一、二、三章の四部で構成。まず序章で大学院学生数が八万七千四百七十六人(昭和六十三年)から二十四万四千二十四人(平成十六年)まで増加していることなどを紹介。「人材養成の目的に沿った教育の組織的展開が弱く、急速な量的拡大に伴う諸課題に対応しきれていない」などと指摘している。
 一章の「国際的に魅力ある大学院教育に向けて」では、(1)各大学院の課程の目的を明確化した上で、学位授与へと導く体系的なプログラムを編成・実践(教育の課程の組織的展開の強化)(2)大学院評価の確立、国際的な質保証活動への参加、世界的な教育研究拠点の形成支援などを通じた国際的な通用性、信頼性の向上を提言している。
 具体的な取り組みを示した二章の「新時代の大学院教育の展開方策」では、「大学院の課程の単位の考え方の明確化」「修士課程および博士課程(前期)の修了要件の見直し」「豊かな学識を養うための複合的な履修取り組み」「博士課程の短期在学コース創設の検討」「国によるコースワーク充実のための情報提供」を例示している。
 また、社会人などが大学院に在籍しないで論文審査を受けて博士の学位を得る、いわゆる「論文博士」については将来的に廃止する方向で議論していたがパブリックコメントなどで廃止反対の意見が多数寄せられたことから、適切な取り扱いを検討することが必要、との表現にとどめている。
 三章の「大学院教育の改革を推進するための計画と社会的環境の情勢」では、平成十八年度から二十二年までの五年間、世界的な教育拠点の形成を目指す「大学院教育振興プラットホーム」(仮称)を実施することを求めた。具体的には修士課程および博士課程(前期)の修了要件の見直しや、学生へ奨学金審査を早期に行うことで経済的に支援することなどを提言している。

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