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記事2005年7月23日 1987号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
義務教育費の国庫負担制度存廃で審議報告
地方側の主張交付税担保に一般財源化
委員多数意見財源確保は困難
【中教審総会】
 中央教育審議会(会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)の総会が七月十九日、都内で開かれ、義務教育費国庫負担制度の存廃両論を盛り込んだ審議経過報告を了承した。地方交付税を担保に一般財源化を求める地方側の主張と、財源確保は困難とする多くの委員の意見の両方を記述している。
 同日の総会から、義務教育特別部会の地方代表委員だった石井正弘・岡山県知事、増田昌三・香川県高松市長、山本文男・福岡県添田町長の三人が、第三期中教審委員となった。発令は七月十九日。地方側はこれまで総会の審議でも地方三人の枠を要求していた。
 総会では冒頭に中山成彬・文部科学相が「(義務教育特別)部会としてはまとまってきていると聞いている。今後の義務教育の結論となることなので秋に向け審議を継続してお願いする」とあいさつした。
 義務教育特別部会で討議されてきた審議経過報告には、国庫負担制度の在り方について(1)教育の質の向上(2)財源確保の確実性・予見可能性(3)地方の自由度の拡大――の三つの観点が示された。
 特に審議時間を費やした財源確保の確実性・予見可能性では、「多くの委員から義務教育費国庫負担金は、国の責任で必ず予算措置されるものであり、一般財源化するよりも、財源確保の確実性・予見性が高い」とした。この記述に対し、地方側は「地方公共団体によっては、国庫負担金に見合う税収が財源移譲では確保されないところもあるので、地方交付税により適切な財源調整がなされる。このことは総務省の説明にあった通りである」などと反論。
 さらに「一般財源は使途が自由なもの」と危ぐする多くの委員の意見に対し、「地方行政においても最も優先されているのは教育であり、一般財源化されても教育費の適正支出を担保できる」などとする地方側の主張、両論が記されている。
 一方、地方側が主張していた義務教育特別部会で行われた総務・財務両省のヒアリング、有識者の意見陳述は、文部科学省のホームページに掲載することで報告には反映されなかった。
 ヒアリング内容の記述要請が反映されなかったことについて、地方六団体委員は「誠に遺憾である。あらためて鳥居会長に対し、義務教育の費用負担の在り方についての議論を国民に十分理解してもらう努力と、今後の審議にあたっての公平・公正な運営を求める」とけん制している。鳥居会長は「(審議経過報告について)了承していただいたと思っている。いたちごっこになってしまう」などと話した。
 今後、義務教育特別部会で関係団体からの意見聴取を行い、来月二十四日から審議を再開する予定だ。

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