こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2005年6月23日号二ュース >> VIEW

記事2005年6月23日 1982号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
課程制大学院制度を強化
学位授与の円滑化
論文博士は将来的に廃止へ
【総会】
 中央教育審議会(会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)は六月十三日、都内で総会を開き、課程制大学院制度の定着などを提言した「新時代の大学院教育――国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて」の中間報告をまとめ、中山成彬・文部科学相に提出した。
 中間報告では、課程制大学院制度の趣旨に沿った博士の円滑な学位授与の確立を求めた。具体的な取り組みとして「学位授与に関する教員の意識改革の促進」「学生を学位授与へ導く教育プロセスの明確化と整備、それを踏まえた適切な教育・研究指導の実践」「学位論文などの積極的な公表、論文審査方法の改善」「国による各大学院の学位授与に関する取り組みの把握・公表の実施」などを提言している。
 また社会人などが大学院に在籍しないで論文審査を受けて博士の学位を得る、いわゆる「論文博士」については、▽国際的にも、学位は大学での教育の課程を修了した者に対して知識・能力の証明として大学が授与するもの▽わが国の学位の国際的な通用制、信頼性の確保――などの理由から将来的に廃止する方向性を示している。
 平成三年度に博士学位を受けた一万八百八十五人のうち、論文博士は六千百六人に上り、五六%を占めている。十三年度は論文博士の占める割合が三六%で、五千七百五十六人となっている。
 中間報告には、論文博士の割合は減少傾向にあるものの、現在も取得を目指す人が多いことから、論文博士と課程博士が併存してきた経緯を考慮することも必要としている。
 一方、中間報告では世界的な教育拠点の形成を目指す「大学院教育振興プラットホーム(仮称)」を来年度より五年間実施することを求めた。具体的な取り組みとして、修士課程および博士課程(前期)の修了要件の見直しや、学生へ奨学金審査を早期に行うことで経済的に支援することなどを提言した。

学校での実習に10単位以上
実践的な指導力を強化


【教員養成部会専門職大学院WG】
 教員養成の専門職大学院の在り方について議論している中央教育審議会教員養成部会のワーキンググループ(主査=横須賀薫・宮城教育大学長)は六月十三日、都内で会合を開き、十単位以上を学校での実習に充てることや専任教員の四割以上を実務家教員とする素案をまとめた。今後、新たな免許状を創設するかなどについて詰め、来年四月の開設を目指す。
 即戦力となる新人教員とスクール・リーダーを養成する。
 標準修業年限は二年としているが、学部の教職科目も履修できる「長期在学コース」も弾力的に設置。履修単位は四十五単位程度とし、十単位以上を学校での実習により取得させることで、実践的な指導力の強化を図る。
 教育課程は学校教育に関する理論と実践とが融合した体系的な編成を求め、「教育課程の編成・実施」「教科の実践的指導方法」「生徒指導・教育相談」「学級経営、学校経営」などの授業科目の領域を例示している。
 専任教員は最低十一人とした。この専任教員の中で、実務家教員が占める割合を四割以上に設定し、一般の専門職大学院三割、法科大学院二割に比べ、高い比率を考えている。実務家教員の成り手としては、教員や指導主事などといった学校関係者を多く想定しているが、医師や臨床心理士、家庭裁判所や福祉施設職員、民間企業関係者など幅広い採用を提言している。「専門職免許状」(仮称)を新たに創設し、修了者に授与するかなどが今後の検討課題に挙がっている。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞