こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2005年6月23日号二ュース >> VIEW

記事2005年6月23日 1982号 (4面) 
ユニーク教育 (145) ―― 淑徳巣鴨中学・高等学校
経済同友会とタイアップ スポンサー講座開講
有徳の精神を養う松方氏
「高校時代は人間形成の場です。私は『有徳の精神』と言っていますが、この時期に思いやりの心を養うことが一番大事だと思います。その基本となることは、一つが道義心、二つ目が忍耐力、三つ目が包容力です」
 三井住友海上火災保険株式会社の相談役である松方康氏の熱っぽい、語りかけるような話が続いた。
 五月九日、淑徳巣鴨中学高等学校(中川武夫校長、東京都豊島区)で、「スポンサー講座」が開かれた。この「スポンサー講座」は社会の第一線で活躍する人々に、未来を担う生徒のスポンサーになってもらい、無料で講演してもらうもの。第一線級の「本物」「ピカ一」といわれる人々との出会いにより、知的好奇心を膨らませ、キラキラと瞳を輝かせてもらいたいこと、このことこそがまさに「スポンサー講座」の狙いだ。これによって、今まで生徒が受身でやっていた勉強が、自分の夢をかなえるための勉強に変わるはずだという願いが込められている。
 同校にはスポンサー講座ばかりではなく、土曜日に難関大学に合格した卒業生がマンツーマンで勉強の面倒を見る「ブライト・サタデイ・クラブ」がある。これは学校生活にメリハリをつけるために、授業で分からない部分を次週に持ち越さないようにするためだ。
 この日の「スポンサー講座」には、いつもと違い、六人の「本物」が勢ぞろいした。経済同友会とタイアップし、六人の講師が高校一年を対象に各クラスで講演するというものだ。北岡隆(三菱電機梶@相談役)、小澤敬一郎(潟eレビ朝日 常勤顧問)、高坂節三(コンパスプロバイダーL・L・C・ゼネラルパートナー日本代表)、藤田東吾(イーホームズ梶@取締役社長)、茂木賢三郎(キッコーマン梶@取締役副社長)、松方康(三井住友海上火災保険梶@相談役)そうそうたるメンバーが集まった。
 松方氏の講演は「高校時代への期待―高校時代に何をするべきか―」をテーマに、自己紹介から始まって、高校時代にすべきこと、どんな人間が必要とされているか、そして生徒への願いなどに話は及んだ。
 松万氏は自由奔放に過ごした高校時代、友人づくりの大学時代、そして、社会に貢献したいという思いから損害保険会社に就職を決めたことなどについて触れながら自己紹介を行った。また、高校時代で大事なこととして、「仲のよくない人や気の合わない人と討論し、いろいろな考え方や価値観があるということを理解してほしい」と訴えた。
 必要とされる人間像として、「世の中の流れが分かる人」「近隣諸国と仲良くできる人」「自分で物事を決められる人」「何事も前向きに考えられる人」を挙げた。その上で、「最も重要なことは、高い志(目標意識)を持ち、強い気迫を込めてこれを実践する人が求められている」と力を込めた。
 最後に生徒たちへの身近な願いとして、(1)学校を好きになってほしい(2)腕白であってほしい(3)広い視野を身につけてほしい(4)自分の行動に責任をもってほしい(5)自分辞典を厚くしてほしいを挙げた。このうち、(5)については、「親は表紙(ベース)を、学校は目次(方向性)を、辞典の中身は自分がつくる必要があります。知識だけではなく、思いやりの心も含まれます」と付け加えた。
 講演後、将来福祉関係に進む希望を持っている生徒からの今後の福祉についての質問に対して、松方氏は「いい福祉がどういうものかについて(の議論が)不十分です。ぜひ新しい福祉のあり方について勉強してほしい」と答えていた。
 また、同校は五月十六日にもこの日のように、ほかの六人の講師が来校し「高校時代に何をするべきか」をテーマに講演を行っている。「スポンサー講座」には、生徒の進路に影響を及ぼす講座もかなりあるという。生徒の目の輝きが確実に変わってきている。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞