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記事2005年6月13日 1980号 (2面) 
学生の就職支援に力注ぐ短期大学 (2)
国際学院埼玉短期大学
就職率ほぼ100%を達成
90%以上が専門職で活躍
 国際学院埼玉短期大学(大野誠理事長・学長、埼玉県さいたま市)は、昭和五十八年の開学以来二十一年間、就職率ほぼ一〇〇%を達成し続けている。うち九〇%以上が専門職として仕事に就いているという。設置学科は現在、健康栄養学科と幼児保育学科、それに、学位授与機構認定の専攻科(二年課程)をそれぞれの学科に併設している。平成十六年度卒業生の進路状況を見ると、健康栄養学科の百二十人は、企業(給食)に就職した者が二十四人、食品関連企業へは十五人、施設・保育・病院・大学(給食)に十七人、公務員三人、一般企業二十九人、その他に七人が就職。併設の健康栄養専攻へ二十五人が進学した。幼児保育学科の卒業生二百十二人は、幼稚園へ就職した者が百十五人、保育園に八十三人、施設等二人、企業・病院に二人、一般企業へは四人が就職、六人は併設の幼児保育専攻へ進学した。
 就職指導は、一年次の四月のオリエンテーションから始まる。九月には本格的な就職ガイダンスが始まり、以降、ほとんど毎月、模擬試験や対策講座、内定をもらった二年生らによる就職試験体験発表など、時期に応じた内容で実施されている。また、教職員が学生たちの志望をより早く確実に把握するため、一年次に写真付きの就職指導記録を学生自身に提出してもらっている。
 就職指導も含めて、学生に対するサポートに力を発揮するのが、クラス担任制度である。入学から卒業までの二年間、学生は同じクラスで学生生活を送る。そして、そのクラスを担任する教員も、ほとんどの場合、二年間を共に過ごす。このため、一人ひとりの学生の志望や個性・適性を把握しやすいだけでなく、なにより、学生の動きを見ながらきめ細かな対応ができるのである。
 同短大全体の就職支援組織としては、就職委員会が設置されており、担任教員、学科長、就職指導の直接の窓口であるキャリア情報サービス室職員らが月一回のペースで会議を行い、情報交換をしながら、一人ひとりの学生の状況を確認し、連携してサポートしている。もう一つの特徴といえるのが、実習とその評価のフィードバックが非常に効果的に行われていることである。
 例えば、幼児保育学科の学生の実習は一般の幼稚園などに依頼しているが、実習中は教員が実習先を訪問し、実習が終わると相手先に学生個々の評価を書いてもらっている。その評価内容は学生に戻し、課題があれば就職活動に向けて改善していく。それだけではなく、実習後には実習先の幼稚園や保育園、企業等を招いて懇談会を開き、書面では分からない、あるいは書面には書きにくいようなこと、例えば生活面での課題なども聞くことができるのだという。そこで得られたさまざまなニーズを、その年の学生にフィードバックするだけでなく、翌年の指導内容にも反映させているのである。こうした情報の循環の積み重ねが、就職率を高い状態で継続させている要因の一つとなっていると見られる。これは健康栄養学科の実習も同様だ。ちなみに十六年度の実習先懇談会に参加したのは幼稚園等四十園、企業等は十社で、全実習先の四分の一だった。資格取得についても、幼児保育学科は幼稚園教諭二種免許・保育士資格が、併設専攻科では幼稚園教諭一種免許が取得でき、健康栄養学科では栄養士免許および教職課程と合わせて栄養教諭免許が取得できる。さらに、平成十五年度からは併設の国際調理師専門学校に夜間部を設け、調理師免許も取れるよう、ダブルスクールを開設した。これは、企業等の「調理師免許のある栄養士が欲しい」という要望に応えるために実現させたものだ。なかでも、国際学院埼玉短大が最も力を注いでいるのは「人づくり」教育である。あいさつをすること、教職員と学生が一緒になって環境美化に務めること、時間を守ること、つまり「礼をつくし、場を清め、時を守る」(教育方針)という、社会人・職業人としての基本を徹底して教育しているのである。そこが、就職先から最も高い評価を得ている点だと考えている。

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