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記事2005年5月3日 1976号 (2面) 
大学への飛び入学
高大連携改善に関する協議会が初会合を開く
座長に丹保放送大学学長、高大連携と共に検討
来春までに活性化策
文部科学省の「大学への早期入学及び高等学校・大学間の接続の改善に関する協議会」の初会合が四月二十二日、都内で開かれた。
 冒頭、丹保憲仁・放送大学長が座長に、荻上紘一・大学評価・学位授与機構教授が副座長に選出されたほか、大学への飛び入学や高校と大学の連携の現状等が同省から説明され、委員による自由討議が行われた。今後、検討課題を整理し、来年三月末までに協議結果を取りまとめる。
 高校二年修了後に大学へ飛び入学する制度は、平成九年に創設され、千葉大学で十年度から十七年度までの八年間に三十二人が入学、私立の名城大学では十三年度から十七年度までの五年間に十九人が入学した。今年四月からは、これら二校に加えて昭和女子大学、成城大学、エリザベト音楽大学が新たに数人の募集を行ったものの、志願者がないなど、全般的に低調な状況だ。飛び入学の活性化に関しては、政府の「規制改革三か年計画」でも課題等の検討が求められていた。
 一方の高大連携に関しては、大学等における科目等履修生や聴講生などの制度を活用して、学んだ内容を高校の単位として認定している高校や大学教員による高校での学校紹介や講義の実施は、急速に拡大している。
 飛び入学に比べて高大連携が活発なのは、進学面で大学とのパイプを確保したという高校側の思いと、就学人口が減少している中で、高校生を早い段階から囲い込んでおきたいとの大学側の思いがあるようだ。
 この日の自由討議では、公立高校長が飛び入学に関して、「高校側にメリットはない。大学側からの発想だ。学力の高い生徒でも必ずしも早く大学に行きたがらない」とし、高校三年間をかけての人格教育の必要性や高校教育の形骸化への懸念を表明した。
 また飛び入学制度創設時にはなかった「スーパーサイエンスハイスクール」や「スーパー・イングリシュ・ランゲージ・ハイスクール」などの新制度が飛び入学の代替機能を果たしているとの指摘もあった。
 さらに千葉大学に飛び入学した卒業生のその後を知りたいといった意見や、「飛び入学は選抜の主体が大学側にあり、メリットを享受できるのは大学側。一方、高大連携は学習内容の接続の話で、高校側にメリットがある。両者は別物」とする意見、「飛び入学と高大連携とも根底には大学と高校の教員間のネットワーク作りの重要性がある」などその共通性を指摘する意見などがあり、両者をどう関連付けて、あるいは分割して議論を進めていくのかなどが話し合われた。このほか私立大学関係者からは、インターネットを活用した高大連携の具体的取り組みが報告され、「高大連携は(教育面からの重要性はもちろんだが、)大学にとっては生き残りをかけた重要なファクター」との意見も出された。

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