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記事2005年5月23日 1977号 (1面) 
三位一体改革めぐり国と地方が協議
地方6団体
積み残し6千億円問題などで要望
私学助成も地方の創意工夫阻害と指摘
昨年、教育界に大きな嵐≠もたらした政府の「三位一体の改革」について、国と地方六団体代表が話し合う懇談会が四月二十八日、総理官邸で開かれた。この中では昨年十一月二十六日の三位一体改革に関する政府・与党合意で積み残しとなっていた六千億円の税源移譲の問題などが話し合われた。
 この席で麻生渡・全国知事会長(福岡県知事)は、地方六団体として、三位一体の改革に対する今後の対応方針、政府が六月中に閣議決定する予定の「経済財政運営と構造改革の基本方針二〇〇五」(いわゆる骨太の方針)への要望、国庫補助負担金に関して地方の創意工夫を阻害している具体的事例等を報告した。
 積み残しの六千億円の税源移譲については、「地方の改革案に掲げてある社会福祉施設・公立文教等施設整備国庫補助負担金、社会保障・文教関係の経常費補助負担金を優先すること」「平成十八年度までの改革を第一期改革と位置づけ、十九年度以降も第二期改革として更なる改革を行うこと。(第二期改革では)消費税を含めた基幹税により八兆円の税源移譲を積極的に進めること」を要望。六月策定の政府の「骨太の方針二〇〇五」にこれら事項を反映するよう求めた。
 また地方の創意工夫を阻害している国庫補助負担金の具体的事例等では、私立高等学校等経常費助成費補助金、幼稚園就園奨励費補助金、高等学校定時制及通信教育振興奨励費補助金などを挙げている。このうち私立高等学校等経常費助成費補助金に関しては、「高校の補助単価に占める国補分の割合は一五%台と少ないが、国から補助金の交付を受けるに当たり提出する資料が多岐にわたり、事務手続きが煩雑」などと指摘。幼稚園就園奨励費補助金に関しては、「補助単価は、全国一律の入園料・保育料の平均値を基に算定されているが、地域格差があり、地域の実情を反映していない」などとしている。
 昨年十一月の三位一体改革に関する政府・与党合意では、私立高校等に対する国庫補助は、私学関係者らの強い反対などから、税源移譲対象から外され、国庫補助の存続が決まった。しかし今後本格化する六千億円の税源移譲論議、第二期改革では再び私学助成が浮上する可能性は残されていることから、私学関係者は今も三位一体の改革の動向を注視している。

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