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記事2005年5月23日 1977号 (2面) 
免許更新に救済措置
専門職大学院ではスクールリーダー育成
教員養成部会 
中央教育審議会教員養成部会(部会長=梶田叡一・兵庫教育大学長)のもとに設けられた「教員免許制度」と「専門職大学院」の両ワーキンググループの会合が、五月十二日と五月十六日にそれぞれ東京都内で開かれた。教員免許の更新制度について、更新できなかった教員については免許を失効させるより、救済措置を与えるべきとの意見が目立った。専門職大学院では、優れた指導理論や実践力・応用力を持った「スクール・リーダー」を育てるほか、即戦力となる新人教員の輩出などを、養成する教師像として掲げた。
 終身資格である教員免許について、更新の制度導入などについて議論している「教員免許制度ワーキンググループ」では、更新制について二つの案が示されている。案は、(1)免許状の有効期限の満了時に、特段の問題がなければ、更新される(2)更新毎に一定の具体的基準を設け、有効期限満了時に、その基準に達していなければ、免許状が更新されない制度を挙げている。
 会合では、「排除でなく、資質が高まっていく更新制でなければ。だが甘く見られたらいけない」(藤崎武利・東京都港区立三田中学校長)「更新できなかったら来年、再度チャレンジできるようにするなどしたほうがよい」(山極隆・玉川大学学術研究所教授)などといった意見が相次いだ。
 今後、同ワーキンググループでは、現職教員への更新制適用についても検討していくとしている。だが、「もともとなかった制度なので、現職にすぐ適用となると現場は混乱する」(渡久山長輝・(財)全国退職教職員生きがい支援協会理事長)といった慎重な意見も出ている。
 一方、「専門職大学院ワーキンググループ」では、専門職大学院の目的・機能として(1)現場での一定の教職経験を有する小・中・高等学校の現場職員を対象に、将来、地域における指導的教員や指導主事、学校の管理者となる上で不可欠な確かな指導論理と優れた実践力・応用力を備えた「スクール・リーダー」の養成(2)学部段階で教員としての基礎的・基本的な資質能力を修得した学生の中から、さらにより実践的な指導力を備えた「即戦力としての新人教員」などを示した。
 会合ではカリキュラムの構成などを中心に話し合った。養成は授業中心でなく、拠点学校での実践研究やフィールドワークなどに重点を置くカリキュラムが例示された。このほか委員からは授業、教え方がうまい「授業力」を養成するカリキュラム構成を求める意見が相次いだ。
 中でも、古賀正一・市川学園(市川中学校・市川高等学校)理事長・学長は「授業力、教授力、人間性が重要で、大学側も実学を備えた体制にしていかなければならない。フィールドワークでは私学を大いに活用してもらいたい」などと述べた。

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