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記事2005年4月23日 1975号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
教員免許の更新制検討
専門職大学院 中核となる教員の育成
【教員養成部会】
 中央教育審議会教員養成部会(部会長=梶田叡一・兵庫教育大学長)のもとに設けられた「教員免許制度」と「専門職大学院」の両ワーキンググループが四月十五日、如水会館(東京・千代田区)で開かれた。教員免許の更新制度について、特に問題がなければ更新される制度か、もしくは具体的な基準を設けるかといった二つを例示。一方、高度な専門性を持った教員を育成する専門職大学院の在り方については、学校現場で中核・指導的立場を担え、得意分野を備えた教員の育成などを目指すこととしている。
 教員免許制度ワーキンググループでは免許更新制度の導入について、▽免許状の有効期限の満了時に、特段の問題(適格性、専門性に欠ける、教職の信頼を損なうなど)がなければ更新される制度▽更新ごとに一定の具体的基準(専門性について一定レベル以上)を設け、有効期限満了時に、基準(更新ごとに高くなる)をクリアしてなければ更新されない制度の二つを例示した。
 また更新制の位置付けとして、(1)上進制度と連動させるが、現職研修や評価、処遇などとは制度として切り離す(2)免許状が更新された者に新たな資格を付与したり処遇を改善するなど、現職研修や評価などと完全に連動させる(3)更新制を上進制度のほか、現職研修と制度として部分的に連動などとする三つのパターンを提案した。
 有効期限は一律五〜十年程度とする案のほか、免許状の種類、更新回数によって差異を設ける案も挙げている。
 なお、適格性や専門性向上などの判定基準・方法は「免許状保有者に共通に求められる最小限必要な資質能力を有しているかどうかを基準として行う」「有効期限内における一定の講習の受講状況や自己研さんの状況を基準とする」「適格性、専門性それぞれについて、具体的な判定基準・方法を定めておくことが必要」「一定以上の勤務実績については、少なくとも有効期限の半分以上の期間の勤務実績が必要」などが提示されている。
 また免許状が失効した場合の教員の身分上の取り扱いについて、私立学校は雇用主(公立学校は任命権者)の判断によるものとし、免許状の失効と切り離してはどうか、としている。
 この日の会合では、渡久山長輝・財団法人全国退職教職員生きがい支援協会理事長が、「適格性は人間を問うものであって、価値観の形成を深めていく必要がある。教員は現場で育つ。(免許更新制を)処遇に反映させなければならない」などと強調した。
 また、天笠茂・千葉大学教授は教員の専門性について「教員は変化にせき立てられ、追いつかなければならない。知識、技術は古くなっていく側面があり、どう対応していくのかという認識も大切だ」などと述べた。
 一方、専門職大学院ワーキンググループでは、専門職大学院の活用方法などについて話し合った。同部会では、教員の基礎・基本的な資質能力の育成は学部段階で行われることを前提とし、大学院段階の教員養成・再教育の充実を図るために専門職大学院を活用することが適当であるとした。具体的な教員養成分野の専門職大学院の目的と機能については、(1)小・中・高等学校などの現職教員を対象に、学校現場における中核的・指導的な役割を担いうる教員の養成(2)学部段階で教員としての基礎・基本的な資質能力を修得した者を対象に、より実践的な指導力や得意分野を備えた新人教員の育成―などを大きな柱としている。
 この日、委員からは、「五百を超える大学で(教員)免許が取れる。その免許には優劣がない。いまの学部では(教員養成は)難しい点もあるということを指摘しないと弱いと思う」「なぜ(教員養成分野の)専門職大学院が必要なのかを明らかにしなければならない。あいまいなままつくってしまっては世の中を納得させるものにならない」などの意見が出された。

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