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記事2005年4月23日 1975号 (8面) 
ユニーク教育 (142) ―― 東京女子学院中学・高等学校
コットンローズミュージカル開く
サウンド オブミュージック 総合芸術として発表
いよいよその時がやってきた。東京女子学院中学・高等学校(酒井A理事長・校長、東京都練馬区)のシンボル芙蓉(ふよう)の花(コットンローズ)≠ノちなんで名付けられた「第一回コットンローズ・ミュージカル」が三月二十六日、同校の芙蓉ヶ丘講堂で開催された。ミュージカルは不朽の名作「サウンド オブ ミュージック」。
 この日は、在校生の保護者に加え、四月に入学が決まっている生徒やその家族らで会場は埋め尽くされた。
 同校は昭和十一年「至誠努力」を建学の精神に掲げ創立され、「健全な心身と豊かな思考・情操の陶冶(とうや)」「思いやりの心と奉仕精神の昂揚(こうよう)」「勤勉努力と清潔整頓の習慣化」「日本女性としての自覚と国際性の修得」を教育目標とする。このミュージカルは、まさに同校が目指している教育の集大成といえるものとなった。
 ミュージカル開催にこぎつけるまでには、紆余曲折(うよきょくせつ)あったという。同校の特色である先進的な授業を行っている英語教育、右脳を生かす弦楽器による感性を育てる教育、腹式呼吸を生かした健康教育、コミュニケーションの基本である礼儀作法など日ごろの学校生活を発表する機会はないかと考えた末、決めたものだ。「サウンド オブ ミュージック」の開催は、これらの教育を現した総合芸術として発表する場となった。
 中学・高校生全員がスタッフとして役割がある。高校生が中心となって演出、アクター、衣装、舞台美術、照明・音響、コーラスなどを分担し、中学生が主にオーケストラを担った。プロフェッショナルスタッフとして、外部から招いた講師や同校の教員が当たった。
 「アクター選考に当たりオーデションを行ったのですが、日ごろ目立たない生徒が多かったのには驚きました」と語るのは、ミュージカルの企面・運営委員長の平野郁久子・生徒指導部長だ。
 生徒の役割分担が決まり、学校が一丸となって動き出したのが昨年の四月。週一回、放課後を利用して練習が始まった。せりふは、すべて英語で、暗記をしなければならない。英語の指導はネイティブの英語科主任教諭が当たり、振り付けも外部講師により本格的に行われた。
 生徒、教職員の緊張の中でミュージカルは始まった。オーケストラの静かな曲が流れるとともに、主人公マリアが観客席脇の扉から登場した。明るいマリアの歌声が会場いっぱいに広がると、観客はいつの間にか生徒の熱演に引き込まれるかのような雰囲気に包まれた。マリアとトラップ家の子供たちとのドレミの歌の合唱は見せ場の一つだった。会場からも手拍子がわき起こり、すべてが一体となった時間だった。
 「本校はさまざまな行事を行っていますが、それらを一つにまとめたのが、このミュージカルといえます。これによって、学年を越えたチームワークががっちり取れるようになってきました」と平野委員長は成果を語る。
 最後のシーンが終わり幕が閉じると、生徒たちは涙、涙で抱き合い、感動を会場で分かち合っていた。
 「うれしいことは、この経験が現在生かされていることです。新学期になって、生徒たちは生き生きとしています。控え目な生徒たちも変わり、積極的になってきました」と平野委員長は顔をほころばす。


ステージで熱演する生徒たち

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