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記事2005年4月13日 1974号 (2面) 
私大振興の新たな方策協議 私大協総会
シニア向けに特別選抜 来年度にも開始
経営相談室を設置
日本私立大学協会(会長=大沼淳・文化女子大学理事長・学長)は第百二十二回総会を三月二十八日、東京・市ヶ谷の私学会館で開いた。同会では、学校経営者の相談を引き受ける「私学経営相談室」を今年度より開設することで承認を得た。また「団塊の世代」の多くの退職者を見据え、年長者の大学入学を狙いとした「シニア特別選抜(仮称)」を早ければ来年度からスタートすることが決まった。
 冒頭のあいさつで大沼会長は「中教審の我が国の高等教育の将来像答申に基づき、もろもろの施策が実行される。また団塊の世代が六十歳に近く、高等学校以下、教員不足を起こす。改革諸制度が実行段階に移され、さらに課題を抱える年になる。大きな区切りとなるがより良い意見を承り、引き続き努力して取り組んでいく」などと意気込みを語った。
 総会では今年度からの新たな事業として、もし学校経営が困難になった場合、相談できる「私学経営相談室」を事務局内に設置することが決まった。相談室は室長と相談委員、嘱託相談委員で構成し、担当者は協会の理事や委員、幹事、加盟校を定年退職した人が非常勤で応じる。相談内容は私学経営全般について受け付けるが、協会への融資の要求は除く。
 また、同会は定年退職した六十歳以上を対象とした「シニア特別選抜(仮称)」を社会人特別選抜とは別に新たに実施する方針を固めた。シニア特別選抜では個別学力試験を実施せず、面接により学習計画を聴取したり、社会経験を積極的に評価して選ぶ方針となっている。入学金や授業料といった学納金は一般の学生よりも低く設定し、「単位従量制」(授業料を履修分だけ徴収する方式)を想定している。
 同会によると、いわゆる「団塊の世代」に当たる昭和二十三〜二十七年生まれの人口合計は約千百万人。昭和二十三年に生まれた人口約二百二十万人が六十歳を迎える年度は平成二十年となっている。一方、大学の主要入学者である十八歳人口は、平成二十年度以降は百二十万人前後で安定する見通し。そこで同会は、減少傾向にある十八歳人口のみに焦点を当てた運営では発展が見込まれないとし、団塊の世代も積極的に大学に取り込むことが発展のきっかけになるとしている。
 シニア特別選抜は、大学の自主性によるものなので、一部の大学では早ければ十八年度入学から実現可能としている。また文部科学省が今年五月ごろに各大学に通知する「大学入学者選抜実施要項」で新たな選抜方法として記載し、多くの大学に普及を図る。
 同会では大学がシニア世代の学び・交流の場になり、居場所づくりにもつながると期待している。

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