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記事2005年3月3日 1970号 (1面) 
義務教育国庫負担審議へ
中教審に新設義務教育特別部会が初会合
国の責任明確化
私学関係者も成り行き注目
中央教育審議会の下に新たに設置された義務教育特別部会の初会合が、二月二十八日、都内で開催され、部会長に中央教育審議会会長を務める鳥居泰彦・日本私立学校振興・共済事業団理事長が選任された。この義務教育特別部会では、国と地方の財政を見直す「三位一体の改革」で焦点となった義務教育費国庫負担金制度の在り方が集中的に審議される。鳥居部会長はこの部会で明確な結論を出すと表明しており、十月の答申を予定。私学関係者も私学助成については一応の決着は見たもののまだ不透明なため、その成り行きが注目される。

 四兆円の補助金を削り、三兆円の税源を地方に移譲するという「三位一体の改革」は今年三年目を迎えた。昨年、地方六団体は義務教育費国庫負担金の全廃などを求めたが、実際には財源移譲は義務教育関連で八千五百億円が暫定措置されたものの、地方案に沿った財源移譲はあまり実現しなかった。後は中央教育審議会の審議結果を踏まえて決定すると先送りされた。税源移譲の目標額である三兆円を達成するためには義務教育費国庫負担金の廃止、移譲が欠かせない。こうした経緯から中教審の下に義務教育特別部会が設けられ、ここで義務教育費国庫負担制度も含めて、義務教育全体の改革について本格的な議論を行うこととなった。
 第一回会議では義務教育の在り方について自由討議が行われた。鳥居部会長は「両論併記はやめたい」として明確な結論を出す意向を表明した。
 中教審は二月からスタートしたが、総会の委員数で、地方代表人数を地方側は三人案を出したが、文科省は二人案を出したため対立し、第一回総会は地方代表不在のままスタートしている。
 今回の義務教育特別部会では委員に地方代表枠が三つ設けられたものの、地方代表については中教審総会と同じく空席のままのスタートとなった。鳥居部会長は今後、地方代表に参加を求めていく方針だ。
 今後の審議内容は、(1)義務教育の制度・教育内容の明確化(2)国と地方の関係・役割の在り方(3)学校・教育委員会の在り方(4)義務教育に係る費用負担の在り方(5)学校と家庭・地域の関係・役割の在り方を予定している。この部会は所掌事務に関する審議が終了次第廃止される。
 特別部会の私学関係委員は、鳥居泰彦・日本私立学校振興・共済事業団理事長、中高連会長の田村哲夫・渋谷教育学園理事長・校長ら六人。
 私学団体は昨年、私学助成の国庫負担の堅持を求め運動を展開した。今後も私立高校等経常費助成費補助金などの国庫補助を強く求めていく。

鳥居氏が部会長に
義務教育特別部会委員


 特別部会委員は次の通り。(敬称略)
 日本私立学校振興・共済事業団理事長・鳥居泰彦▽大学評価・学位授与機構長・木村孟▽キッコーマン会長・茂木友三郎▽日本PTA全国協議会長・赤田英博▽放送大学学園理事長・井上孝美▽兵庫教育大学長・梶田叡一▽全日本自動車産業労働組合総連合会長・加藤裕治▽青森大学教授・見城美枝子▽千代田区立麹町小学校長・角田元良▽ジャーナリスト・野中ともよ▽東京都教育長・横山洋吉(以上、中教審本体の正委員)
 福島県石川町教育長・吾妻幹廣▽小説家・阿刀田高▽広島県東広島市教育長・荒谷信子▽東京大学大学院教授・小川正人▽広島県尾道市立土堂小学校長・陰山英男▽鳥取県知事・片山善博▽東京大学大学院教授・苅谷剛彦▽日本青年会議所会頭・高竹和明▽渋谷教育学園理事長・田村哲夫▽埼玉県松伏町長・千代忠央▽東京都武蔵野市長・土屋正忠▽全国退職教職員生きがい支援協会理事長・渡久山長輝▽港区立三田中学校長・藤崎武利▽国際基督教大学教授・藤田英典▽評論家・宮崎哲弥▽白梅学園短期大学長・無藤隆▽八洲学園大学教授・山本恒夫▽慶應義塾大学教授・吉野直行▽品川区教育長・若月秀夫(以上臨時委員)

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