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記事2005年3月3日 1970号 (4面) 
私学教育と振興を考える集い 埼玉私中高校協会
バウチャー制度提案
私学助成の問題点協議
下村衆院議員公費支出の格差、学校選択の自由

東海林会長

埼玉県私立中学高等学校協会(東海林敏雄会長=浦和ルーテル学院理事長)は二月二十一日、さいたま市・ラフレさいたまで「私学教育と私学振興を考える集い」を開催、理事長、校長、PTA役員ら百六十人が集まった。第一部では「講演会」を、第二部では「私学教育と私学振興を考える会」と題して私学助成の現状と問題点、今後の私学運動などについて協議した。

 第一部の冒頭、東海林会長は「生徒募集について非常に厳しい時代を迎えているが、埼玉私学は建学の精神のもとに教育方針を掲げて行っている。埼玉の各私学が一丸となって(厳しい時代を)乗り切りたい」と力強くあいさつした。
 続いて、川端幹雄・同協会常務理事は講師紹介の中で、埼玉県の経常費補助の高校生徒一人当たり単価(平成十五年度)が全国最下位であることを挙げ、「この状態を根本から何とかしなければならない」と述べた。
 講演会では、文部科学大臣政務官で衆議院議員の下村博文氏が「新しい教育改革の方向」と題して、バウチャー制度と公設民営学校を中心に、埼玉県の中で教育改革をしたらどうなるかということを例に記念講演を行った。
 下村氏は、高校生一人当たりにかかる年間授業料と公費支出との合計を、公私立で同じにすることがバウチャー制度と説明した上で、「この場合、公立がコストを削減する方法として、公立の仕組みを変える必要がある。その制度が地域運営学校(コミュニティースクール)で、校長が人事や予算の面で裁量権を持ち、学校が自由な教育を行うことができる。学校の行ったことがそのまま成果となって表れる制度だ」と説明した。
 下村氏は諸外国の状況について、(1)利用者に対してクーポンが発券され、それをもって利用者は好きな学校を選ぶ。額面分の補助が得られる(2)個人に対して支給される奨学金(3)発券はないが、生徒数に応じて学校に補助金を交付するもの――に分類される三つのバウチャー形態を説明、下村氏は(3)の形態を提案しているとした。
 下村氏はバウチャー制度を構造改革特区で認めた場合を例に挙げ、「経済的理由で私立高校を選択できなかった子供たちが私学を受けられるようになる。一方で、公立学校同士の競争が行われることになるので、教育レベルが上がることになる。公立へのコストを削減した上で、公立を活性化する方法として、特区改正における公設民営学校の特例(今年、国会に上程される予定)が考えられる」とした。
 この公設民営学校は、民間事業者が人材、ノウハウなどを提供し、地方公共団体が学校施設の提供などを行い、「公私協力学校法人」を設立するもので、地方公共団体のニーズを反映した特色ある教育活動を実施し、地方公共団体の支援・関与で安定した経営・運営の実現を目指した方式。
 下村氏はこの制度についてのポイントとして、(1)経済的なハンディキャップをなくし、すべての人たちに学校選択の自由を与えること(2)公立高校も含めて、個々の学校の教育の自由と経営の独立を認めることが必要なことだと指摘した。

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