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記事2005年3月23日 1972号 (1面) 
中高連全国理事会評議員会開き山積課題協議
私学の新時代へ邁進
私学補助を堅持
公設民営、株式会社立学校新たな課題

田村会長

日本私立中学高等学校連合会(田村哲夫会長=渋谷教育学園幕張中学高校理事長・校長)は、三月十五日、東京・市ヶ谷の私学会館で第百四十九回全国理事会・第百二十二回全国評議員会を開催した。会議の冒頭、田村会長は、この一年間は、十年分を経験した感があると話し、昨年の三位一体改革をめぐる国庫補助堅持運動の厳しかったことをのぞかせた。私学助成については、平成十七・十八年度の廃止・削減対象から外れただけという状況であることや、公設民営学校の拡大、株式会社立学校の全国展開なども新たな課題となっており、中高連としては昨年の活動の成果等を踏まえて、十七年度もこれらの問題にその都度対応していくとの方針が報告された。

 田村会長は初めに「全体的に公財政予算が削減される中で平成十七年度私学関係予算が増えたことは、各県の私学が頑張られたから」と感謝しながら、「変革の時代を乗り切って、新しい私学の時代を迎えるべく努力をしていかなければならない。今日はみなさんのご意見をいただきたい」とあいさつした。
 会議では、平成十六年度事業中間報告・同中間決算案・同収支補正予算案が報告され、また平成十七年度事業計画案・同収支予算案が協議され、いずれも承認された。
 このうち十六年度事業中間報告では、私学助成の国庫補助の堅持を訴えての強力な陳情活動や緊急全国大会の開催などの運動が展開され、その結果、十七・十八年度は廃止削減の対象から外れ、私立高等学校等経常費助成費補助金および地方交付税による財源措置額の合計も対前年度比二十七億円増の五千百五十億円と、制度創設以来の最高額となったことが報告された。
 しかし、一方で十七年度は、高等学校および幼稚園を対象に特区において公設民営学校が制度化されること、小・中学校についても公設民営学校の解禁が規制改革・民間開放推進会議の提言事項に挙げられていること、教育バウチャー制度の導入や学校設置会社等への私学助成の適用、株式会社設置学校等の全国展開等、私学にとって新たな課題も浮上しており、それぞれ対応策を取っていくとされた。
 生徒収容対策としては、在籍生徒数を早期に把握するため全国の私立高等学校等の生徒数を調査、さらに「全国公私立高等学校協議会私学連合会」の廃止に伴い、全国的な協議の場として「全国生徒収容対策会議」を設け、各都道府県が抱える公私間の問題について情報交換を行ったと報告。
 十七年度事業計画では、国庫補助に関しては、私学助成をめぐる状況を十分に踏まえ、公私立学校間の公費支出の格差是正に向けて方策の検討・見直しを進めること、三位一体改革に対応して全国で私学振興運動を積極的に推進していくこと、また国公立中高一貫教育校の設置拡大に対する対策をとっていくとしている。
 広報活動については、昨年度以上に関係機関等への広報活動を積極的に行うほか、十六年度はなかなか一般紙等のマスコミに取り上げてもらえなかったということから、機関紙「私学時報」の発行、全私学新聞との連携も取っていくとし、さらに全日本私立幼稚園連合会や日本私立小学校連合会など私学関係団体との連絡提携を深めていくとしている。
 十七年度も三位一体改革に対する取り組みは最重要課題であり、前述したさまざまな施策をとりながら、状況に応じて適切な対策を取っていくと報告された。

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