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記事2005年3月23日 1972号 (1面) 
中教審・義務教育特別部会 学力向上、学習意欲など発表
国庫負担堅持前提、公正な運営を知事会代表

鳥居部会長

義務教育制度を協議する中央教育審議会義務教育特別部会(部会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)の第二回会合が三月十六日、東京都内で「子供の現状、学力、教育内容について」を議題に開かれた。今回は主に事例発表が行われ、市川伸一・東京大学教授や陰山英男・広島県尾道市立土堂小学校長らが学力向上に関する実践を発表。市川教授は子供の学習意欲の低下を指摘し、一方、陰山校長は学力低下の原因は睡眠不足や食生活などにあるとして自校での取り組みを交えながら発表した。

 会合では、今回より総会委員の地方代表人数をめぐり文部科学省と対立していた全国知事会など地方六団体の代表三人(石井正弘・岡山県知事、増田昌三・香川県高松市長、山本文男・福岡県田川郡添田町長)も初めて出席した。
 会合の冒頭、全国知事会を代表し石井知事は「一部報道で鳥居会長が義務教育費国庫負担金制度を堅持する前提で議論を進めるとされているが、公平公正の運営を求める」と主張するなど、改めて対決色を鮮明にした。
 事例発表では、市川教授が「人間力につながる学力の育成」をテーマに学力・学習意欲の向上策を発表した。平成十一年から十四年までを「学力低下」の論争期間として、「学力は本当に低下したのか」とする内容と「九〇年型の教育改革を支持するか」の二つを軸に論争されてきたと説明。「だが、どんな論者も認めているのは意欲の低下である」と、子供の学習意欲の低下を指摘した。そこで学力・学習意欲の向上策として、「知識を生かして探究する活動」「教えて考えさせる授業を基調にする」「家庭学習を含めた学習スキルの育成」「授業外学習支援の充実」を提案した。
 一方、陰山校長は学力低下とは子供の元気の喪失現象であると強調。土堂小学校の子供は午後九時半までに半分が就寝していることなどを紹介しながら、生活習慣の重要性を指摘した。具体的には、テレビ、ゲーム、インターネット、携帯電話などの「ディスプレー依存症」から睡眠が奪われ、慌ただしい生活による食生活の悪化を学力低下の原因に挙げた。さらに「そこに努力、基礎の軽視、生活指導の軽視の新しい学力観が追い打ちをかけ、子供の生活を崩した」と発表した。
 次回は二十三日に教員の資質向上をテーマに開催される。

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