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記事2005年3月23日 1972号 (2面) 
栄養教諭制度スタート
学校給食の管理と食の指導
この四月一日から栄養教諭制度がスタートする。栄養教諭は教育職員として、学校給食の管理と食に関する指導を行うことを基本としているが、給食の実施そのものが義務ではないことから、栄養教諭の配置についてはいまのところ、公立学校については地方公共団体に、国立および私立学校については設置者の判断にまかされている。
 この栄養教諭制度導入のきっかけは、食生活を取り巻く環境が変化し、食生活の多様化が進む中で朝食をとらない子供など食生活の乱れが大きな問題となったことから、学校において、子供が将来にわたって健康に生活していけるように栄養や食事のとり方などについて正しい知識を身につけさせ、「食の自己管理」や「望ましい食習慣」を子供たちに身につけさせようというもの。その中核として、栄養教諭を位置づけている。
 このため、栄養教諭による「食の指導」として期待されているのは、(1)個別的な相談指導(2)教科や特別活動における指導(3)食に関する指導の連携・調整など。
 (1)個別的な相談指導では、肥満傾向や過度の痩身(そうしん)・偏食傾向の生徒等、また食物アレルギーの生徒等への個別的な指導を行う。
 (2)教科や特別活動における指導では、給食の時間を中心にして家庭科や保健体育科などの関連教科や特別活動の時間に、学級担任や教科担任と連携しながら食に関する指導を行う。
 (3)食に関する指導の連携・調整では、食に関する学校全体の指導計画の作成など学校全体の取り組みのほか、児童・生徒の食生活の大部分は家庭が担っていることから、具体的には、給食だより等を通じた啓発活動や、食物アレルギーに対応した献立作成など保護者に対する助言、親子料理教室の開催など家庭への働きかけ、地域の生産者と連携した体験学習などを行う。
 このように栄養教諭は学校の内外を通じて、教職員や保護者、関係機関等との連携を密接に図り、その専門性を生かして、食に関する教育のコーディネーターの役割を果たしていくことが求められている。
 栄養教諭の資格については、栄養教諭普通免許状が新設されており、資格取得は大学等の栄養教諭養成課程で所定の科目を学ぶこととなっている。ただし、現在、学校栄養職員として勤務している人の場合には、一定の在職経験と都道府県教育委員会が実施する講習等において所定の単位を修得することによって栄養教諭免許状を取得できる方法も講じられている。
 栄養教諭制度のスタートに伴い、今後、私学においても、各学校の状況を踏まえながら栄養教諭を配置していくことになる。

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