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記事2005年3月13日 1971号 (2面) 
私学人が語る私の学校・教育改革
久留米信愛女学院短大地域参画推進センター長 岡部 千鶴
地域と共に歩む短大


在宅子育て支援施設
「おもちゃライブラリー」での活動


 本学は、平成十六年度の「特色ある大学支援教育プログラム(特色GP)」に採択された。「『自己を他者に生かす』というカトリック精神に基づいた人間教育が本学の教育理念であるが、これまでの教育活動が特色GP採択というかたちで結実したのである。以下、採択取り組みである「地方都市における地域参画型短期大学教育」について、概要を報告する。
 この取り組みは、「教職員と学生・同窓生が主体的に取り組む地域共生的活動」である。基盤となる「地域参画宣言」を全教職員で決議し、内外に公表し、同時に機構改革を行った。生涯学習委員会を地域参画推進室に、生涯学習センターを地域参画推進センターにそれぞれ改編し、新たに地域参画推進連絡協議会を発足させた。この協議会は、地域との密接な連携を図り、定期的な意見交換および評価を受けるためのものであり、久留米市長および久留米商工会議所会頭などの方々を学外スタッフとしてお迎えした。
 地域参画活動の具体例をいくつか紹介したい。まず、在宅子育て支援施設「おもちゃライブラリー」であるが、ここには学生がボランティアスタッフとして加わり、子どもたちや保護者と交流している。
 また、中心市街地活性化事業として市と商工会議所が企画した「ほとめき隊」の主力は本学の学生である。「ほとめき」とは久留米の方言で「おもてなし」を意味し、商店街の清掃や案内、あいさつ、買い物サポートそしてパフォーマンス活動によって、久留米の街を訪れた方との交流を図る事業である。
 そのほか、市中心部に開設した「信愛コラボレーションプラザ リリウム」は、学生と市民の交流・情報交換の場となっている。新たに、地元メディアと連携し、学生の企画・運営による番組を制作する計画も進行中である。加えて、開学以来の理念であるボランティア精神の涵(かん)養(よう)は卒業必修科目の「信愛教育」の中で育(はぐく)まれ、学生のみならず教職員も地域の中で積極的にボランティア活動にかかわっている。
 地域社会に貢献するとともに、地域の教育力と本学の教育力を統合し、学生の全人格的な成長を支援するこれらの多彩な地域参画活動は、高木善行学長の強力なリーダーシップによって推進され、体制が整備されている。先に紹介した「地域参画宣言」は短大玄関のほか、学生ホールなど学生の目にとまる場所に掲げられており、意識の喚起を促している。また、地域からの要請はその都度、学生に報告されている。
 学生は、地域のさまざまな課題に直面し、自らが主体的に考え行動するといった経験を重ねることによって、わずか二年間の学生生活であるにもかかわらず、目覚ましい成長を遂げていく。就職率は毎年ほぼ1〇〇%を達成している。これは、地域社会から本学が高く評価されていることの裏づけであろう。
 めざす方向は、地方都市と短期大学の連携・共生であり、社会の多様な要請に応えるという点で、本学の取り組みは日本型コミュニティーカレッジ創造の基盤となると確信している。

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