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記事2005年3月13日 1971号 (6面) 
全国専修学校各種学校総連合会が定例総会・理事会
制度30周年を迎え全専各連更に躍進
専門学校修了者の 大学院入学可能に
高度専門士の称号付与も

中込会長


小松室長

全国専修学校各種学校総連合会(中込三郎会長)は二月二十三日、第五十二回定例総会・第百回理事会を東京・市ヶ谷の私学会館で開催した。総会では、来年度から一定の要件を満たした専門学校修了者の大学院入学が可能となるほか、高度専門士の称号も付与されるとの報告が行われた。また今年は専修学校制度制定三十周年となり七月に記念式典を行うなど、全専各連は一段と活動を活発化させていくとしている。また、翌二十四日には全国学校法人立専門学校協会(鎌谷秀男会長)が定例総会・理事会を開いた。今総会では、鎌谷会長の辞任に伴う新会長選任が行われ、中込三郎・東洋美術学校長が新会長に選任された。


職業教育体系の構築目指して


全国専修学校各種学校総連合会の第五十二回定例総会・第百回理事会は、中込会長のあいさつの後、審議が行われ、平成十七年度事業計画案と平成十七年度予算案が提議され、いずれも承認された。

 このうち、事業計画案では、運動方針の基本方針について、教育改革の議論も本格化しており、特に教育基本法改正における議論では「勤労を重んじ、職業との関連を、重視」するなど職業教育のあり方に触れられており、義務教育も今後二年間で見直しを検討することから、生涯学習社会の中に専修学校各種学校を中核とした職業教育体系の構築を行うことが求められているとし、七月十一日を「職業教育の日」と制定した理念のもと、さらに文部科学省の中央教育審議会や「今後の専修学校教育に関する調査研究協力者会議」での提言を踏まえて、現行の専修学校各種学校に対する制度改革の早期実現を求めていくとしている。具体的には、十七年度の重点目標として、(1)専修学校各種学校の一層の地位向上と職業教育体系の構築(2)専修学校各種学校制度の改革の推進(3)専修学校各種学校と一条校との格差是正(4)職業教育に対する対外的な啓発活動の推進(5)専修学校各種学校に対する各省庁施策の充実(6)専修学校各種学校の教育の維特・向上(自己点検・評価、情報開示、個人情報保護など)(7)専修学校各種学校に対する激甚災害法の早期適用(8)全国および各都道府県協会等の組織強化と課程別設置者別部会の活性化を掲げている。
 この運動方針の検討にあたった総務委員会では、基本方針や重点目標の推進・解決策などを文部科学省等と協議しながらまとめていくとともに、制度部会・協力者会議担当、激甚法担当、自己点検・評価担当、格差是正担当、厚生労働省担当、広報担当の小委員会を組織化し、個々の具体的な活動を推進していくとしている。
 そのうち制度部会・協力者会議担当委員からは、専門学校修了者に対する大学院入学資格の付与については、一定の要件を備えた専門学校修了者を対象に平成十七年度中に措置される予定であると報告された。

若者自立・挑戦プラン
日本版デュアルシステムで

厚生労働省

 厚生労働省担当委員からは「若者の自立・挑戦プラン」に盛り込まれた日本版デュアルシステムの専修学校各種学校関連事業として、委託訓練活用型のコースとコーディネート事業の実施状況のほか、デュアル訓練に対する企業の協力を得るためにキャリア形成促進助成金の拡充がなされたが、要件等が厳しいことなどから、専修学校等にとっては受け入れ企業の開拓に有効な措置とは言いがたい、などと報告があった。また、厚労省では日本版デュアルシステムを定着させたい意向もあり、引き続き平成十七年度も関連予算が増額される旨の説明がなされた。
 なお、報告事項では、不法滞在外国人問題が浮上するなか平成十六年十二月から施行された「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」(改正入管法)の主なポイントとして、出国命令制度の新設、在留資格取り消し制度の新設、上陸拒否期間の見直し(十年に延長)などが報告された。
 また現況報告に関連して、文部科学省の小松悌厚・専修学校教育振興室長が講演を行った。
(概要は別掲の通り)

【専修学校教育重点支援】

職業意識の啓発推進など新規
平成17年度約13億円、前年度比2.4%増

文部科学省生涯学習政策局専修学校教育振興室長 小松 悌厚 氏

 まず、新潟県中越地震については補正予算が組まれ、阪神・淡路大震災と同じ予算措置がなされます。二月二十四日から現地に調査に入りますので、今年度中に執行される予定です。
 各種学校生に対する国民年金保険料の納付特例についても、一定の要件を満たせば適用できるようにするため、厚生労働省では四月一日からの施行に向けて制度改正に取り組んでいます。
 また、平成十七年度税制改正で企業等に対する「人材投資(教育訓練)促進税制」が創設されました。専修学校各種学校は人材育成のための訓練等について企業からの委託を積極的に受けていただきたい。
 今年一月三十一日、中央教育審議会は「高等教育の将来構想(グランドデザイン)」について答申を出しました。その中で、専門学校を高等教育機関として位置づけた上で、具体的な制度改正について提言していること、中長期的な構想の中に専門学校が位置づけられていることは画期的だと考えています。担当官として今後とも専修学校各種学校の振興に努力していきたい。
 改正私立学校法が四月一日から施行されます。端的にいえば学校法人における理事会等の機能の強化、代表権の明確化のほか、外部人材の導入や情報開示などが義務づけられます。また個人情報保護法も四月一日から全面施行されますので、研究していただきたい。
 文部科学省「今後の専修学校教育に関する調査研究協力者会議」では大学院入学資格付与が四年制であること、体系的なカリキュラム編成であること、三千四百時間以上の授業時数であることなどを要件として決まったことを踏まえて、新たな称号として高度専門士を与えてはどうかという検討も行っています。この名称は仮称ですが、いまのところ代替案は特に出されていません。
 平成十七年度予算(案)については、「専修学校教育重点支援プラン(新規)」「専修学校を活用した職業意識の啓発推進(新規)」「若者の自立・挑戦支援事業」「専修学校社会人キャリアアップ教育推進事業」等として合計で約十三億二千三百九十五万円を計上、昨年比二・四%増となっています。
 このうち新規の「専修学校教育重点支援プラン」は、職業能力向上のために、社会的要請の高い課題に対応する教育内容や方法等についての重点的な研究開発を「研究指定校」として専修学校に委託するもので、例えば、地域人材の育成、キャリア指導の推進、専門課程の高度化開発などを実施し、文科省の研究指定校として単独の申請も認める方針です。
 また「専修学校を活用した職業意識の啓発推進」は、若年者に対して職業に必要な技術・技能の学習意欲と職業意識の高揚を図るために措置されるもので、例えば、小中高校生に対する講演会、職業体験講座の実施等をお願いしたい。


17年度事業計画と予算を決めた全専各連総会・理事会

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