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記事2005年2月23日 1969号 (1面) 
第三期中教審初会合で中山大臣審議事項説明
義務教育、免許制度改革など要請
指導要領見直し
秋に提言や報告とりまとめ

中山文科相


鳥居会長

中山成彬・文部科学大臣は二月十五日、都内で開かれた第三期中央教育審議会の初会合で、中教審が今後、審議すべき事項とそれらに関する大臣の基本的考え方を説明した。大臣が挙げた審議事項は大きく分けて、(1)今後の初等中等教育改革の推進方策(義務教育など学校教育に係る諸制度の在り方、初等中等教育の教育課程および指導の充実・改善方策)(2)地方分権時代における教育委員会の在り方(3)今後の教員養成・免許制度の在り方――の三点。前期中教審から継続課題も少なくなく、大半の課題は政府の三位一体改革と絡むため今年秋までに提言や基本的方向性がまとめられる。また第三期中教審会長には鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問が再選された。

 中教審総会の冒頭のあいさつの中で、今後の審議事項について説明した中山大臣は、義務教育の在り方に関して可能な限り速やかにそれらの問題を集中的に審議する「義務教育特別委員会」(総会の直属機関)の初会合を開き、義務教育の理念を達成するために求められる教育内容を始めとした教育の在り方、教師の在り方、あるべき学校像、教育の成果の評価方法、国と地方の関係の在り方、義務教育に係る経費負担など義務教育全般にわたる審議を行い、今年秋までに提言をまとめてほしいとの考えを表明。それと関連して教員養成における専門職大学院の在り方、教員免許制度の改革、とりわけ教員免許更新制の導入などの審議を進め今年秋までの提言とりまとめも要請した。
 また学習指導要領の見直しに関しては、「『生きる力』を育む現行の学習指導要領の理念や目標に誤りはない」としながらも、「その狙いが十分達成されているか、必要な手立てが十分講じられているか、ここに課題がある」との考えを示した。
 その上で学習指導要領の見直しの観点として、(1)「人間力」向上のための教育内容の改善充実(2)学習内容の定着を目指す学習指導要領の枠組みの改善(3)学ぶ意欲を高め、理解を深める授業の実現など指導上の留意点(4)地域や学校の特色を生かす教育の推進――の四点をあげ、基本的な方向性について今年秋までに報告するよう要請した。
 このうち「人間力」向上のための教育内容の改善充実については、道徳教育や芸術教育の改善、体力・気力の向上、食育の充実等を含めた検討を、また学力の向上については、世界トップレベルの学力の復活を目指した教科内容の改善充実、特にすべての教科の基本となる国語力の育成、さらに基本的な学習内容の定着を目指す理数教育の改善充実、外国語教育の改善充実に関する十分な検討が必要と指摘。
 学習指導要領の枠組みの改善に関しては、子供たちが身につけるべき資質・能力の到達目標の明確化、国民として共通に必要な学習内容の示し方の検討を求め、また授業時数等の見直しについては、各教科および「総合的な学習の時間」の授業時数の在り方、学校週五日制下での土曜日や長期休業日の取り扱いなどを検討課題として示した。
 学ぶ意欲を高め、理解を深める授業の実現など指導上の留意点については、個性や才能を伸ばす教育の推進、補充的な指導の必要な児童生徒への教育の在り方、教科書や指導方法等の改善など子供たちがわくわくした気持ちで授業に取り組めるような方策、わかる授業の実現に向けた方策の検討を要請した。
 地域や学校の特色を生かす教育の推進については、地域の文化・伝統や学校の実態を踏まえ、その特色を生かす教育の推進、学校と家庭、地域社会との関係の在り方などの検討を求めた。

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