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記事2005年2月13日 1968号 (1面) 
中高連が公立中高一貫で文科省に質問
理念と現実にズレ
公私間で費用負担適正化必要
日本私立中学高等学校連合会(会長=田村哲夫・渋谷教育学園幕張中学高校理事長・校長)は、このほど、文部科学省に対して「公立中高一貫教育校の在り方に関する質問」を提出した。その中で同連合会は、(1)公立中高一貫教育校の中学校課程は、方法はどうあれ一定の選抜を経た生徒に対して特例的な教育を行っており、「普通教育によって子供たちに等しい就学機会を提供する」という公立義務教育の理念にそぐわないのではないか。
 (2)「学力検査は行わない」、「受験競争の低年齢化を招かない」「受験エリート校化しない」とする中高一貫教育制度本来の趣旨と全国的に開設されている中高一貫教育校の現状について、制度を創設した国としてどのように受け止めているのか。
 (3)普通教育とはいえない公立中高一貫教育校の中学校課程では、現に私立の中学校課程と同様の特例的教育が行われている以上、ここに係る費用の負担においても、公私間で適正化が図られるべきではないか。一般の公立中学校並みにこれを公費で負担し、無償とするのはなぜか――との質問を投げかけている。
 また質問の根拠として、(1)公立義務教育の目的は、「国民の教育を受ける権利」の実現に向けて、すべての子供たちが等しく就学できるよう、その機会を提供することであり、その内容は「普通教育」、つまりすべての子供たちに共通に必要とされる基礎的教育であるとされている。そしてこうした公立義務教育を後押しするために、運営経費は公費によって賄われ、無償とされているはず。(2)当然「普通教育」の内容には、全国的な教育水準の維持が求められ、またこれを保障するのが国の責務。(3)ところが公立中高一貫教育校の中学校課程では、一般の公立中学校へ入学する権利を留保させながら、別途適性検査等による入学者選抜を実施し「その学校に相応しい」とされた生徒に対して六年一貫の特例的な教育を行っている。(4)「適性検査」とは名ばかりで、内容は実質的に学力検査と変わるところがなく、進学塾ではそのための対策すら行われていると聞き及んでいる。(5)私立の中学校課程でも学校ごとに入学者選抜を実施し、独自の教育が行われているが、それらの費用は保護者が負担している。(6)公立中高一貫教育校の中学校課程では、私立学校と同様の特例的教育を実施しながら、公立義務教育という理由で、一般の公立中学校と全く同様に無償とされていることは、適切な費用負担
の在り方とは思えない
――と指摘している。

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