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記事2005年12月3日 2006号 (6面) 
ユニーク教育 (148) ―― 鳥取敬愛高等学校
婦徳の涵養と人格形成
教育は人なり、教師は授業で勝負

池本校長

鳥取敬愛高等学校(池本秀行校長、鳥取県鳥取市)は今年、創立百周年を迎えた。これを記念し、十月十五日、同県の県民文化会館で記念講演の講師に裏千家前家元、鵬雲斎 千玄室大宗匠を招き、「学校創立百周年記念式典」が盛大に開催された。同校は明治三十八年、鳥取裁縫女学校として創立され、現在まで卒業生は二万五千人を数える、県下でも有数の伝統校だ。
 創立者である古田貞氏は「人格の完成、婦徳の涵養に努め、自主的精神に富める心身の健やかな国民を育成する」を建学の精神に掲げ、その精神は現在まで連綿と受け継がれている。校訓は「知性をみがく」「礼儀をつくす」「社会に奉仕する」。平成十五年、鳥取敬愛高等学校と改称し、特別進学コースを男女共学とした。全校で三百九十四人のうち、男子十数人が在籍しているが、建学の精神は不変だ。
 「ただ、『婦徳の涵養』については、百周年を契機に現代的な解釈を加味し、女性の自立として大きくとらえようと思います」と池本校長は述べる。これを象徴している鳥取ロータリークラブ指定のインターアクトクラブ活動、および国際ソロプチミスト鳥取をスポンサークラブとした同校Sクラブの活動も活発だ。「奉仕の精神」(池本校長)の表れでもある。
 同校の目指す生徒像は、自分の目標に向かって意欲的に頑張ることができる生徒だ。具体的には、大学や短大、専門学校に進学するために勉強を深めたい、幅広い教養や礼儀などを身につけ就職してから実社会で活躍したい、学校行事・部活動・ボランティア活動などでも自分の可能性に挑戦したい――同校はこんな生徒を待っている。
 その部活動は活発で、伝統ある弁論部、社会部、茶道部、華道部等、全国大会レベルの卓球部のほか、ソフトボール部、バレーボール部などの活躍が目立つ。
 意欲的な生徒を受け入れる学校として、改革の一つの柱である教員の研修に力を入れている。昨年度校長を除く全教職員が公開研究を初めて実施した。一回目は国語・地歴・公民を、二回目は数学・英語・家庭科を、三回目は理科・情報・保健体育を実施した。県教育委員会の高等学校課・小中学校課・県教育センターの各教科指導主事、同県東部地区中学校長ら、多くの教育関係者が参観した。「鳥取敬愛高校教員としての自覚と誇りを再認識させられました。『教育は人なり』『教師は授業で勝負する』ということを身をもって示した教師集団に深甚なる敬意を表します」と池本校長は、公開研究の成功を述べた。
 九月十日、鳥取県立県民文化会館で「第三十回中国地区私立中学高等学校父母の会 鳥取大会」が開催された。学習会発表の部で同校の「傘踊り」が、私学へ子供を通わせている保護者や教職員の前で披露された。体育の授業で鳥取県の民謡「貝殻節」「きなんせ節」「みつぼし盆唄」「鳥取しゃんしゃん傘踊り」などに取り組み、二・三年生は毎年運動会などで演じてきた。会場の保護者らも踊りに合わせて、一緒に歌ったり、手拍子をとるなど踊り手と保護者とが一体となって、大いに盛り上がった。大会終了後は生徒全員がロビーに整列して、各県の保護者をお見送りした。その間、ロビーのあちこちで、生徒と一緒に写真を撮ったり、声を掛けるなど、交流の輪ができた。「学校として生徒のために何ができるかを考えなければなりません。担任は自分のクラスが精神的に安全である教室風土をつくる必要があります。これによって生徒たちが自分の居場所があると思ってくれればいいのです。生徒が安心して心を開くことができる教室をつくってほしい」と池本校長は精神面での安全を強調する。


傘踊りを披露する生徒

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