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記事2005年12月23日 2008号 (8面) 
ユニーク教育 (149) ―― 聖ドミニコ学院高等学校
ドミニコの森で社会人に必要な知識
心の教育による豊かな人間性培う
聖ドミニコ学院高等学校(佐野督郎校長、宮城県仙台市)の大沼トモ子教頭は「生徒一人ひとりの個性や能力を最大限に伸ばすことと同時に、三年間でできるだけ多くの付加価値をつけて卒業させてやりたい」と熱く語ってくれた。その付加価値とは、建学の精神である「キリスト教的愛と誠をもって教育に当たり、豊かな人間性をそなえた社会人の育成をめざす」にも表れているように、豊かな人間性にある。
 そのために「心の教育による豊かな人間性の育成」「国際教育による国際的センスの育成」「情報教育による現代社会に対応できる人間性の育成」――の三つを教育目標に置き、同校は取り組んでいる。具体的には、毎朝、授業前の朝礼時には十分間全校読書、生徒が希望する進路達成をアシストするコース制などの導入、および不登校など学校不適応生徒への対応などにも力を注いでいる。
 同校は三年前から特別進学と総合の二つのコース制を導入している。特別進学コースは国公立大学に現役合格を果たすためのカリキュラムを組んでいる。例えば、サテライン授業。この授業は大手予備校と提携し、衛星通信を介しその授業を専任教師の指導の下に放課後に行われている。総合コースは、二年にさらに(1)私立大学・短期大学コースと(2)就職・専門学校を目指すコースのそれぞれに分かれる。特別進学コースと私大進学コースではインターネットによる英語学習プログラムを履修し、英語実用検定試験二級合格やTOEICの高得点を目指す。また、企業において即戦力となるため、パソコンやビジネススキルの取得を目指したNTTパソコン講座、ビジネス教養講座を行っている。
 「コース制の中身を保護者や受験生に理解してもらうように努めています」(大沼教頭)
 また、総合コース二、三学年の二年間で、高校卒業後、社会人として必要な生活知識、生活技術などを身につけるために週二時間、同校が設定科目の単位として認めている「ドミニコの森」を開講している。開講している内容は次の通り。家庭料理、中国料理、女性のマナー、ファッションコーディネーター、着つけ、エアロビクス、手話、税金の納め方、折り紙、パソコン、救急措置、冠婚葬祭、護身術――など。
 「すべて、仙台市内でその道の一流の社会人から講師を招き行っています。生徒たちは楽しんでやっています」(大沼教頭)
 進路指導については、卒業生の講話を除き、すべて企業から人事担当を招き模擬面接を行っているという力の入れようだ。
 学校不適応生徒に対して十分な配慮を行っている。国立仙台医療センターの臨床心理士が、カウンセリング室で生徒やその保護者の相談に当たっている。また、このような生徒には特別なカリキュラムを行っており、「卒業させるために、学校と保護者、生徒が精いっぱい努力している」(大沼教頭)。
 また、運動部、文化部ともに県大会や各種コンクールの上位入賞を目指し、活発に活動している。バスケットボール県予選ベスト八、県下の私学大会で二位と健闘した。バレーボール部は全国大会に出場を果たした。
 「本校の温かい、家庭的な雰囲気を大事にしていきたいと思います。卒業生がよく遊びに来ることも特徴です。最終的には生徒の幸せのために一生懸命やるということです」と大沼教頭は自信を持って話す。

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