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記事2005年12月13日 2007号 (1面) 
高校法人 経営更に厳しく
帰属収入で消費支出を賄えない法人が45%に
私学事業団『今日の私学財政』を刊行
人件費抑制も収入減に追いつかず 短大法人では回復の兆しも
日本私立学校振興・共済事業団(鳥居泰彦理事長)は、このほど『平成十七年度版・今日の私学財政』(大学・短期大学編と高等学校・中学校・小学校編の二分冊)をまとめ、公表した。これは毎年、私学の財務状況を過去五年間の推移を含め調査分析したもの。それによると大学や高校では学生生徒減による学納金の落ち込みに人件費の圧縮などで経営改善を図っているものの、帰属収入で消費支出を賄えない法人の増加が続き、最も深刻な高校法人ではその比率が四四・九%にも達している。

 (大学法人)一法人当たりの資産は前年度に比べ一億二千二百万円増加した。特に有価証券等が増加し、効率的な資産運用が図られている。校舎の都市部移転等により長期借入金がわずかだが増加に転じた。一法人当たりの帰属収入は前年度比一億六千八百万円減少。学納金、補助金、手数料、寄付金すべてで減少。それに対し人件費の抑制が行われているが、帰属収入の減少には追いつけない状況。基本金組み入れ額も減少している。その結果、帰属収入で消費支出を賄えない大学法人は十六年度で百二十三(二四・八%)に達した。
 (短期大学法人)短大法人の資産規模は縮小の傾向で、資産の流動性を回復する傾向。負債総額も減少し財政の健全度は改善しつつある。一法人当たりの帰属収入は前年度比一千七百万円増加した。しかしこれは資産売却差額の増加による一過性の収入増。学納金や補助金は減少を続けている。帰属収入に占める人件費の割合は五八・〇%に低下、基本金組み入れ額も増加した。帰属収入で消費支出を賄えない短大法人は、この五年間減少傾向で、十六年度は五十六法人(三六・一%)。
 (高校法人)漸増傾向にあった資産がわずかに減少、負債の減少は続いている。一法人当たりの帰属収入は五年連続で減少、特に資産運用収入の減少が顕著。消費支出では人件費や借入金等利息の減少が顕著で、基本金を除いた消費収支差額は八千万円の支出超過。帰属収入で消費支出を賄えない法人は十六年度に過去五年間で初めて四四・九%(二百七十九法人)と四割台に乗った。
 (中学校法人)資産規模に大きな変動はなく、借入金等の負債は減少。一法人当たりの帰属収入は前年度比一二・七%増加した。その一方で消費支出も増加した。
 (小学校法人)一法人当たり帰属収入が前年度比一九・六%増加、消費支出も増加、十六年度の消費収支差額は一千二百万円の収入超過。帰属収入増で学納金に対する人件費の依存率は前年度比二〇ポイント近く改善、九一・三%に。
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