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記事2005年11月3日 2000号 (2面) 
地域振興に貢献 (4) ―― 明治大学
大学や専門学校が地域と連携
電柱地中化にともなう 商店街を活性化へ
光ファイバー網で情報発信

 明治大学社会連携促進知財本部(東京都千代田区)は教職員や学生による起業を支援するためにアカデミーコモン内にインキュベーションセンターを設けている。この中、株式会社COCO・WA・DOKO(半田正浩代表取締役=明治大学大学院政治経済学研究科博士前期課程在籍)と、東京都品川区、同区内の戸越銀座商店街連合会は、「ユビキタス商店街」(注・ユビキタス=Ubiquitous)の実現に向けた共同プロジェクトで合意に達し、七月二十二日、記者会見が行われた。




 この「ユビキタス商店街」プロジェクトは電柱類を地中化するのに伴って、商店街全体を光ファイバー網で結び、地域住民、商店街店舗、および商店街を利用する人とのより密接なコミュニケーションが円滑に行われる社会を目指すとともに、商店街の活性化を進めようというものだ。
 同本部は、明治大学が法・商・政治経済・文・農・理工・経営・情報コミュニケーションの八学部、大学院七研究科および専門職大学院を擁する総合大学の利点を生かし、「文理融合型」による幅広い知的財産の創出を目指す一方で、地域のニーズに応じ地域と連携した事業を提案・実施し、「地域密着型」の産官学連携を始めている。
 このプロジェクトも同本部の方針の一環と位置づけられているもの。電柱類の地中化事業は一九八八年ころから国土交通省が推進しているが、戸越銀座での取り組みは二〇〇四年九月、品川区には現在百以上の商店街があるが、このうち二商店街が電柱の地中化を進めることが決まった。戸越銀座商店街ではこれと併行して光ファイバー網を敷設し、商店街の街路灯には無線受発信設備、カメラ、ビデオ、スピーカー、映像表示装置を設置することで、防犯・防災情報をはじめさまざまな情報を配信する。また、広域ナースコール、子供や老人の居場所確認などのサービスを提供するなど、「安心・安全」をキーワードに商店街の活性化につなげる。
 電柱の地中化によって、住宅や店舗などの密集地では電柱が倒れると火災など危険な状態になり、復旧に時間がかかるという状況も回避できるというわけだ。また、光ファイバー網の敷設によって、例えば無線の受発信機を設置すれば、店舗が個別に連絡を行っていたのが、店舗が街路灯にアクセスすることで商店街が集中管理できることになる。光ファイバー網を使って各店舗、警察署、消防署、病院などが発信した情報を集め発信していく。商店街を利用する人々は携帯電話などで役に立つ情報をいつでも自由に受信できるようになる。
 このプロジェクトを進めるに当たって、去年の十月から同社と同連合会は設備などについて勉強会を始めた。今年三月には道路両側の地下共同構内に商店街用の直径三aの管の敷設が内諾され、品川区からはケーブルやその他機材についてそれぞれ商店街活性化事業として取り組むことの内諾を得た。要求仕様は今年十二月中旬までに、商店街から品川区に提出される予定だ。
 同社は大学、商店街をはじめとする特定市場での次世代通信システムの企画・開発・販売事業を展開している。半田代表取締役は「本学を卒業された多くの先輩方のアドバイスを頂きながら、明治大学発ベンチャーという特性を最大限活用させていただき、地域や社会に還元できる仕組みを提唱していくことのできる会社にしていきたいと考えています」と意欲的だ。
 同大学は十月二十二日、東京・秋葉原駅前の「秋葉原クロスフィールド」内に「秋葉原サテライトキャンパス」を開設した。「ユビキタス商店街プロジェクト」の実証実験や簡単に入出力できる情報サービスが大手企業との共同研究としてスタートした。
 同大学が目指す「文理融合型」「地域密着型」の社会連携がいよいよ本格化してきた。
 注・語源はラテン語で(同時に)いたるところにあるという意味。ネットワークにいつでも、どこからでもアクセスできる環境のこと。



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