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記事2005年11月3日 2000号 (1面) 
中教審 新時代の義務教育改革で答申
国庫負担現行制度継続求める
取り扱いは政治折衝の場へ11月末に決着
中央教育審議会(鳥居泰彦会長=日本私立学校振興・共済事業団理事長)は、十月二十六日、都内のホテルで総会を開き、政府の三位一体の改革の中で一般財源化が検討されている義務教育費について現行どおり国の二分の一負担を堅持するべきだとの答申「新しい時代の義務教育を創造する」をとりまとめた。答申は、同日、鳥居会長から中山成彬文部科学大臣(当時)に手渡された。今後、政府、与党内で義務教育費国庫負担金の取り扱いが話し合われ、十一月末には決着の見通し。
 答申は、一部が総論、二部が各論。総論では変革・混迷・国際競争の時代の中で、一人ひとりの国民の人格形成・社会の形成者の育成を担う義務教育の役割は重いとし、国は、責務として義務教育の根幹(機会均等、水準確保、無償制)を保障し、国家・社会の存立基盤がいささかも揺らがぬようにしなければならない、と強調。そのうえで義務教育の構造改革が必要とし、義務教育システムについて目標設定とその実現のための基盤整備を国の責務で行ったうえで、市区町村・学校の権限と責任を拡大する分権改革を進めるとともに、教育の結果の検証を国の責任で行い、義務教育の質を保証する構造に改革すべきだと提言している。
 義務教育の費用負担については、現行の負担率二分の一の国庫負担制度は優れた保障制度であり、今後も維持されるべきとし、そのうえで地方の裁量を拡大するため総額裁量制の一層の改善を求めている。また公立学校の施設整備についても地方の自由度を拡大したうえで国として目的を特定した財源を保障すること、とりわけ耐震化は国が責任を持って推進する重要性を強調している。

学習指導要領見直し、学力調査も

 一方、各論では、学習指導要領の見直しや全国的な学力調査の実施、教員養成・免許制度改革、学校の自主性・自律性の確立、首長と教育委員会の権限分担の弾力化、市区町村への教員人事の移譲などを取り上げ、このうち学習指導要領の見直しでは各教科の到達目標を明確にすること、国民として共通に学ぶべき学習内容を明確にしたうえで、学校ができるだけ創意工夫を生かして教育課程を編成できるよう求めている。具体的には国語力の強化、理数教育の充実、小学校での英語教育の充実などで、総合的学習については、授業時数や具体的なあり方について改善を図る必要性を指摘している。教員採用や教員養成に関しては、教師にやる気と自信を持たせ教師を育てる評価、スーパーティーチャーといった職種を設け処遇するなど教師のキャリアの複線化、教員免許更新制の検討などを求めている。

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