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記事2005年11月3日 2000号 (2面) 
銀行借り入れが重荷に 多々良学園(山口)が経営破たん
高校法人初の民事再生法適用申請
多々良学園高校等を設置する学校法人多々良学園(中村見自理事長、山口県防府市)が経営破たんし、十月二十六日、東京地裁に民事再生手続き開始の申し立てを行い、同日、同庁より受理され、保全決定及び監督命令が発令された。申し立て後一週間を目途に再生手続きを開始するかどうかが決定される。負債総額は約七十一億円(うち金融機関債務は約六十五億円)。高校法人の民事再生法適用申請は全国初。
 多々良学園は、防府市に高校一校(平成十七年度生徒数八百十一人、教職員数九十四人)と幼稚園一校(園児数九十九人、教職員数十八人)を設置している。高校の校舎が老朽化したことや台風被害を受けたこと、生徒急減期の中で高校の魅力作りのために中高一貫教育体制の実現を視野に入れた新校舎建設・移転を計画、資金の大部分を寄付金と助成金で賄うことで建設工事に着工、平成十六年四月には新校舎に全面移転したが、当初計画していた寄付金が集まらず、金融機関から融資を受けた約七十三億円の返済が困難となり、経営破たんに至った。
 学園側としては学校を存続させ、平成十八年度も生徒募集を実施したい意向で、新たなスポンサーを募ることとしているが、自主再建も視野に入れている。
 出生率の低下から底の見えない就学人口の減少が続いており、私立学校の経営破たんが懸念されており、文部科学省も私学の経営破たんによる学生等への被害を最小限に抑えるためのマニュアル「経営困難な学校法人への対応方針について――経営分析の実施と学生に対するセーフティーネットの考え方」を今年五月に公表、学校法人に周知を図っていた。また今年十月には私立高校等を主管する各都道府県の担当部局を集め、経営困難な学校法人への指導の充実などを要請していたところだった。
 私立高校等にとって老朽校舎の建て替えは大きな負担となっているが、通常の場合、基本金として積み立てた資金を中心に行う。寄付金と助成金とで大半の費用をまかなうという計画には多少無理があった、といえる。
 多々良学園は曹洞宗系の学校で、そのほか曹洞宗系の学校としては東北福祉大学、駒澤大学、鶴見大学、愛知学院大学などがある。
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