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記事2005年11月23日 2004号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
全日中、全高長から意見聴取
中学生の知識定着率が低下
部活動を指導要領に位置づけ
【教育課程部会】
 中央教育審議会教育課程部会(部会長=木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長)は十一月七日、都内で会合を開き全日本中学校長会(=全日中、大橋久芳会長)と全国高等学校長協会(=全高長、甲田充彦会長)から教育課程上の課題などについて、現場の立場の意見聴取を行った。全日中からは部活動を学習指導要領に位置付ける要請が、また全高長は、現在の中学生について「非常に知識の定着率が低い」と指摘した。
 全日中からは大橋会長の提出資料に基づき、高橋秀美総務部長らが意見を述べた。全日中は「生きる力」をはぐくむという基本的な考え方を継続してもらいたい、とした上で必修教科の授業時間を増やす方向での検討を求めた。さらに、各学校の裁量で授業時数を決めることや、創意工夫を引き出すための支援体制についても検討を要望した。
 同部会では「子どもたちの変化への対応」「社会の変化への対応」として、食育、キャリア教育、法教育、金融・経済教育、環境教育など、新たな教育の在り方を検討課題として挙げているが、全日中は各教科間の関連を横断的に図りながら、学習指導要領の内容に位置付ける方向での検討を要請。さらに、部活動も学習指導要領への位置付けを要請し、困難な場合は将来、社会体育に移行することとし、その制度設計を求めた。委員からは「重荷にならないか」「気持ちは分かるがスポーツの種類も増えている」などの意見が出された。
 一方、全高長の甲田会長は小・中・高・大の連携・系統性の必要性や、「小単位多数科目学習」スタイルからの転換などを要請した。甲田会長は中学生の九七・六%が高校に進学することを挙げ、「いまの中学生は基本的な知識の定着率が非常に低い。(学習指導要領)三割削減の中学生を受け入れ、出口では大学受験で五教科七科目が待っている。現場は悲鳴をあげている状況」などと訴えた。

教職大学院創設を提言

【教員養成部会】
 教員の資質向上の方策について検討している中央教育審議会教員養成部会(部会長=梶田叡一・兵庫教育大学長)は十一月十六日、都内で会合を開き、教員養成系専門職大学院の創設と、教員免許の更新制を導入することなどを盛り込んだ中間報告案をまとめた。
 今後、部会のほか初等中等教育分科会、総会でも議論して最終的な報告をまとめ、答申する。
 中間報告案では実践力を持つスペシャリスト教員の育成を専門職大学院において育成しようと「教職大学院(仮称)」の創設を提言。標準修業年限の二年間で四十五単位以上を必要修得単位数とし、うち十単位以上は学校での実習に当てる。「理論と実践の融合」を目指した教員養成教育の実現を目指し、早ければ十九年度からスタートする見込みだ。現在は委員らにより具体的なモデルカリキュラムの作成も進んでいる。
 一方、教員免許状については、終身資格である免許に有効期限を設ける更新制の導入を、十年ごとに行う方針を盛り込んだ。
 新たに資質能力を確認する科目「教職実践演習(仮称)」を免許更新講習として位置づけ、講習を受講することが更新の条件とした。
 有効期限満了時の直近一、二年間の間に、全体で二十から三十時間程度の講習を受講する。会合で委員からは、現職教員への更新制の適用をどうするか、また教職実践演習の内容の充実を求める意見や、免許の更新、教職大学院の修了者においては処遇での反映を求める意見が目立った。

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