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記事2005年10月3日 1995号 (5面) 
学生の就職支援に力注ぐ短期大学 (3)
埼玉女子短期大学
インターンシップ中心にキャリア形成支援プロジェクト
五つのプログラムで構成現代GPにも選定

 埼玉女子短期大学(鈴木健一学長)は、商学科・国際コミュニケーション学科の二学科に十一のコースを置き、一学年の学生数は約三百人。開学以来、実務教育を重視してきた。こうした伝統から同短大では、キャリア意識を醸成し、自己理解を図り、職業意識を備えた人材を育成するため、キャリア形成支援教育プロジェクト「インターンシップとキャリア短大構想」を実施している。このプロジェクトは@コース別インターンシップAコース別基礎ゼミB資格取得の推進Cカリキュラムの改革Dキャリアサポートセンターの設置の五つのプログラムから成るが、その中心となるのがインターンシップである。同プロジェクトは、優れた取り組みとして文部科学省の平成十六年度「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(現代GP)にも選定された。


 埼玉女子短大のインターンシップは三種類。七月中旬から八月中旬に行う「春学期三週間インターンシップ」(平成十一年度から導入)と、二月中旬から三月中旬に行う「秋学期三週間インターンシップ」(平成十二年度から開始)、さらに大きな特徴といえるのが十二月中旬から三月中旬までの長期間にわたる「三カ月インターンシップ」(平成十三年度から開始)である。
 参加学生は、基本は一年生だが、二年生も希望すれば参加できる。また、一人の学生が最大二回まで参加可能だ。
 インターンシップ導入当初、参加学生は数えるほどだったが、ここ数年で急激に増加した。平成十五年度の延べ参加学生数は八十人、十六年度は百十四人、今年度は既に春学期インターンシップだけで八十人と、このままいけば、今年度の参加人数は延べ百五十人に達すると予想される。
 人気の理由の一つは、希望する職業を体験できるだけでなく、仕事の面白さや手応えを学生が体感できるからだ。企業によっては、インターンシッププログラムを作って対応してくれるところもあり、企業が積極的に人材を育てようとしている姿勢の表れといえよう。例えば、事務系なら複数の課に異動させてさまざまな業務を体験させたり、販売系なら複数店舗で販売を体験させるといった例だ。学生のなかには実習中大きな販売実績を上げて企業側を驚かせるものもいる。「うちの入社試験を受けてみないか」と誘われる学生も結構いるとのこと。
 インターンシップが好評である理由の最も大きなものは就職率の高さだろう。平成十六年三月卒業の就職希望者の就職率は九四・三%、今年三月卒業のそれは九六・三%と高い実績を上げた。この中からインターンシップ参加者の就職率を抽出してみると、一〇○%なのである。


協力企業も年々増加
日本航空など有力企業40社


 協力企業も年々増えてきた。例えば三週間インターンシップでは、日本航空インターナショナル、新宿プリンスホテル、近畿日本ツーリスト、メリーチョコレートカムパニー、日高市役所など。また、三カ月インターンシップでは、ホテルニューオータニ、帝国ホテル、ホテルオークラ東京、ナルミヤ・インターナショナルなど。協力企業の総数は約四十社にものぼる。
 賃金は、基本的には無給だが、三カ月インターンシップのほうは、企業との話し合いで有給となった。金額については企業側に一任している。
 インターンシップ学生に対する各企業の評価も高い。短大側が丁寧な事前研修をして送り出しているからだ。まず説明会が開かれ、次に事前面接が行われ、実習先が決定する。その後、春学期インターンシップの場合なら、五月の連休明けから必修のオリエンテーションが始まる。毎週水曜午後の一時限をあて、二カ月間にわたって実施される。履歴書の書き方の指導や企業研究、実習先企業担当者による講演、インターンシップ経験者の二年生との懇談会などが行われる。その際、学生にはスーツの着用が義務づけられ、服装から髪や爪まで教職員がチェックしている。実習先企業によっては、そうしたことが厳しく要求されるからだ。同時に、一般教育科目である「生活とマナー」「ホスピタリティー」と連携して、社会人としてのあいさつやマナー、心遣いや思いやりをきちんと教える。


実習先に毎日日誌提出
自信がつき就労意欲向上


 インターンシップが始まると、三週間インターンシップの場合、学生は毎日日誌を書いて実習先の担当者に提出する。三カ月のほうは、短大へ毎週Eメールで報告し、中間日に登校し報告会をする。
 いずれのインターンシップでも、教職員は、その期間中に必ず実習先を訪問する。
 インターンシップ終了後は、反省会を開くほか、三カ月インターンシップの学生には、レポートの提出を課している。学生の感想を聞くと、「もっといろいろやりたかった」とか、実社会に触れて自分の勉強不足を痛感し「勉強しておけばよかった」と言うものが多く、「人間関係のとりかたが難しい」「通勤ラッシュに驚いた」という意見も出る。だが、どの学生も終了後は自信を持つようになり、就労意欲が高まるという。
 単位認定は、三週間インターンシップは四単位、三カ月インターンシップには八単位があてられている。



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