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記事2005年10月3日 1995号 (2面) 
「海陽学園問題」収束へ 入学者選抜改善の意向
来春、愛知県蒲郡市に「海陽中等教育学校」の設立を進めている財団法人海陽学園設立準備財団(豊田章一郎理事長)が、今年七月十日から全国六カ所で奨学生の資格審査を実施し、日本私立中学高等学校連合会(田村哲夫会長=学校法人渋谷教育学園理事長)が早期選抜は受験生への精神的影響が大きいなどとして事態の改善を求めていた問題で、同財団は八月二十九日、奨学生資格審査を見直し、来春の入学試験については、各地域での「入学者選抜開始期日の申し合わせ」を尊重、遵守した形で実施する意向を同連合会に伝えた。
 同連合会は九月十三日、東京・市ヶ谷の私学会館で開いた第二回全国私学協会長・事務局長会議に同財団の意向やこれまでの経緯などを説明、今回の奨学生資格審査はすでに実施された部分を含めて不適切だったと判断するが、一応事態の収束を図ることを決めた。
 同財団が今年七月十日から八月末にかけて実施した奨学生資格審査は学力検査を含み、同連合会は、実質上の入学試験で、七月段階での実施は入学試験の前倒しに当たり、早期の合否判定は小学生の学校生活に無用の混乱を引き起こし、小学校の学級経営にも悪い影響を及ぼす恐れが十分あるとして、奨学生資格審査の合否発表は、来春の本来の入学試験期日に併せて行うこと、このような形での奨学生資格審査は今回限りとし、来年度以降は各地域での入学試験実施期日の申し合わせを尊重・遵守して実施することなどを求めていた。
 両者間の数度にわたる協議の結果、同財団は来春の入学試験についてはそれぞれの地域での入学者選抜期日の申し合わせを尊重・遵守した形で実施すること、今回のことは同財団の認識の甘さや対応の不備が原因で、今後は私学関係者と十分なコミュニケーションを図り、魅力ある学校づくりを進めていく方針を明らかにした。
 中学校の入学者選抜の開始については、小学生への教育的配慮から地域ごとに関係者の共通理解の下、最終学年のできる限り遅い時期にとされている。
 海陽中等教育学校はトヨタ自動車や中部電力など約八十社の企業が設立するもので、全寮制のもと六年間の中高一貫教育を行い、将来の日本を牽引する人材の育成をめざす。校長には開成中学高校の校長を務めていた伊豆山健夫・東京大学名誉教授が就任する予定。今年十月には愛知県へ学校法人および学校設置認可申請が提出される予定。

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