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記事2005年10月3日 1995号 (2面) 
団塊世代に特別選考
関西国際大で初の試み60歳以上
関西国際大学(兵庫県三木市、濱名篤学長)は九月二十二日、「団塊の世代」の大量退職を見据え、原則六十歳以上を対象とした「シニア特別選考」を来年度から導入することを発表した。
 シニア世代への学習の場の提供、さらなる社会貢献の促進・支援を目指す。同大学入試課によると、シニア世代に限定した特別入学枠の設置は全国初だという。
 募集対象となるのは経営学部(総合ビジネス学科)と、人間学部(人間心理学科、教育福祉学科、英語コミュニケーション学科)で、両学部各十人。選考日は一次が十二月十七日、二次が二月二十五日となっている。同大学指定の「志願理由書」「経歴書」に記入し、事前相談を申し込む。選抜はこの事前相談と面接、書類審査により総合的に判断される。
 入学後は専門のアドバイザーがシニア学生一人ひとりに学習計画の立案や、コンピュータの活用など幅広く学習支援に当たる。また、シニア学生向けに学習モデルも用意する。例えば子育て体験を生かした地域福祉のリーダーの育成や、英語を使い国際交流活動の担い手の育成などを想定している。
 初年度の学費は、四年間で卒業する場合が百二十五万九千円、ゆとりを持って六年間で卒業する場合は八十八万九千八百円となっている。
 一方、三年次編入学のコースも設定したほか、年額最高三十六万円の奨学金の制度、学費分割納入制度なども設けた。
 同大学が加盟する日本私立大学協会は、今年三月に開いた総会で年長者の大学入学を狙いとした「シニア特別選抜」を来年度からスタートすることを新規事業として打ち出した。
 シニア特別選抜は大学の自主性によるものなので、一部の大学では早ければ十八年度入学から実現可能としていた。
 同協会によると、いわゆる「団塊の世代」に当たる昭和二十三から二十七年生まれの人口合計は約千百万人。昭和二十三年に生まれた人口約二百二十万人が六十歳を迎える年度は平成二十年となっている。
 一方、大学の主要入学者である十八歳人口は、平成二十年度以降は百二十万人前後で安定する見通し。
 そこで同協会は、減少傾向にある十八歳人口のみに焦点を当てた運営では発展が見込まれないとし、団塊の世代も積極的に大学に取り込むことが活性化のきっかけになるとしている。
 八月に同協会が開いたシニア特別選抜の研究会には約二十大学が参加し、今後広がりをみせるかが注目される。

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