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記事2005年10月23日 1997号 (1面) 
中教審教員養成部会が経過報告案 教員普通免許に更新制を
 中央教育審議会教員養成部会の教員免許制度ワーキンググループ(主査=野村新・大分大学名誉教授)は十月十四日、都内で会合を開き、すべての普通免許状に更新制を導入することや、幼稚園教員も十二年指定制度の対象とすることなどを盛り込んだ審議経過報告案をまとめた。教員免許更新制は新たに資質能力を確認する必修科目「教職実践演習(仮称)」を教職課程に設け、講習を受講することを更新の条件とする。年内にも中間報告をまとめる予定だ。

 終身資格である教員免許に有効期限を設ける「更新制」の導入は、普通免許状(専修、一種、二種)に適用するため、私立学校(幼稚園)教員も含まれる。私立学校では教員が更新制で免許状を失効した場合の取り扱いについて、あらかじめ雇用主と教員の間で取り決めておく必要があるとしている。免許状の有効期限は一律十年とする方針だが、初回の更新は五年間とする意見もある。
 現職教員への適用は法制度上の課題など検討していく。また、いわゆる「ペーパーティーチャー」については、免許状の有効期限内に講習を受講し、修了認定を受けることで更新可能とする。
 新たな科目である「教育実践演習」は最低一単位を予定。有効期限満了時の直近一、二年間の間に、全体で二十から三十時間程度の講習を受講する。各課程認定大学において教職指導との関連付けを求めた。
 内容は、教員として求められる(1)使命感や責任感、教育的愛情等(2)社会性や対人関係能力(3)幼児児童生徒理解(4)教科等の指導力―の事項を含む。社会状況や学校が抱える課題、子供の変化などその時々で必要な能力も求めている。
 指導方法は講義だけでなく事例研究、場面指導、グループ討議、指導案の作成や模擬授業などを取り入れる。
 一方、教員免許制度に関するその他の改善方策として、二種免許状を持つ幼稚園教員についても触れた。報告案では「幼稚園の教員について一種免許状の取得促進が求められていることなどを考慮すると、免許法認定講習の実施の拡大を進めるとともに、いわゆる十二年指定制度(二種免許状を有する教員について、教職経験が十二年に達した時点で、一種免許状取得に必要な大学の課程等を指定する制度)の対象とすることが適当」としている。また「当面は二種免許状を存続」としながら、近年の状況では一種免許状早期取得が強く求められていることを考慮し、二種免許状の在り方については引き続き検討課題とした。
 今回の審議経過報告案では、これらの教員養成・免許制度の改革を実施することとした場合、教育職員免許法などの改正のほか、課程認定大学や免許事務を行う都道府県教育委員会における準備などを周知徹底し、できる限り速やかに改革を実現することを求めた。
 しかし、ワーキンググループ内には、免許更新制の導入については依然として慎重な姿勢を示す委員もいる。

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