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記事2005年10月23日 1997号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
義務教育費国庫負担は現行維持
教職員給与を国と地方で折半 26日の総会答申へ
【義務教育特別部会】
 義務教育費国庫負担制度の存廃について討議している中央教育審議会義務教育特別部会(部会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)は十月十八日、現行制度を維持すべきとする答申案を多数決で決めた。今月二十六日に開かれる中教審総会で答申される見通しだ。
 前回会合で示された素案では、初めて制度堅持の方針が盛り込まれたが、今回の案ではさらに一歩進めて公立小中学校教職員給与を国と地方で折半とする「二分の一」を明記。案は「現行の負担率二分の一の国庫負担制度は優れた保障方法であり、今後も維持されるべきである」と断言した。
 会合では、この案に対し地方代表委員が反発。石井正弘・岡山県知事は「答申案は現行制度の堅持を主張する意見を積極的に採り上げ、我々の意見は多くは採り上げていない。地方の意見を真摯(しんし)に受け止め尊重されるべき」と訴えた。さらに増田昌三・香川県高松市長は「地方案をつぶす議論が延々となされている。国の責任というなら全額国庫負担とすべき」などと批判した。
 地方代表委員は制度維持とする答申案に、一般財源化を求める地方側の修正意見を盛り込もうと「両論併記」での妥協点を求めたが、制度堅持派の多くの委員がこれを拒否。議論は平行線をたどり最後は異例の多数決を行い、鳥居泰彦部会長を除く出席者二十四人の委員うち二十一人が賛成、一人が態度を保留し、地方側委員二人が反対した。
 鳥居部会長は採決について「政府・与党合意で要請された『中教審において結論を得る』という本審議会の責務を果たすため」としている。また石井知事は中教審総会でも修正を訴えた上で、「国と地方の協議の場」において結論を求めていく方針だ。一方、小泉首相は「三位一体改革」で税源の地方移管を強く打ち出していることから、今後、中教審答申の扱いが焦点となる。

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